わ、前回からかなりの時間が経ってましたね~(@@)
寒いと手の調子があんまり良くないのと、このところずっと千葉県の旭市というところに通っていましたから、ブログは長々とお休みでした。
その千葉県旭市で、昨日、オペラ「カルメン」が上演されました!
今回は、東総文化会館というところの20周年記念と言う事で立ち上がった企画でしたが、昨年の震災で大きな被害があり、旭市は被災地となりました。
故に、震災復興支援事業の一環として改めて行われることになった、意味のある公演でした。
ビゼー作曲オペラ「カルメン」は、御存知の方も多くいらっしゃると思うのですが、人を傷つけてセビリアに流れてきて軍隊に入ったドン・ホセが、ジプシーの女であるカルメンと運命的な出会いをし、結局破滅に向かって行くという内容。
復興支援事業となったとき、この内容が問題になるかと危惧しましたが、そこは主催者である東総文化会館の御尽力を得て、最後のカルメンがホセにナイフで刺されるというショッキングなシーンも、そのまま行われました。
東総文化会館では、2006年に「魔笛」を上演したという縁があります。
その時は初めてオペラを上演すると言う事で、紆余曲折しながら、ホールの職員の方々にも御協力いただいて、結果的に素晴らしい公演となった思い出深いホールです。
その時、プランナーで参加してくれたスタッフたちも、今は第一線で活躍中。
ホールの主催ということで、ほぼ本番で使う舞台が稽古場になるという贅沢な環境でしたし、良い経験を与えていただいたと思います。
今回も、そこは変わらず、ホールの職員の方々、制作を担当なさったSさんも同じように御尽力いただきました。
ソリストは基本地元の方をオーディションで選ぶという方向でしたが、カルメンを歌われた斎藤加奈子さんは東京の方、ミカエラを歌われた小林未奈子は地元千葉の方が選ばれ、ホセの望月光貴君とエスカミーリオの鶴川勝也君は、助演としてお願いしました。
そしてここの特色である合唱団。
千葉県県民合唱団と言って、登録をして団員となり、公演ごとに参加者を募るというシステムのようです。
今回も60人くらい集まってくださいました。
素晴らしかったのは、6年前の「魔笛」に参加してくださった方が今回も参加してくださって、懐かしいお顔を見せてくださったこと。
舞台スタッフもボランティアの方を募集するのですが、そこにも懐かしいお顔がありました(^^)!
たかが6年、されど6年。
生まれたばかりの子供が小学生になりますよね。
皆さんお変わりなくお元気で、今回も一生懸命頑張ってくださいました!
「カルメン」は合唱オペラです。
地方やアマチュアの団体が公演演目に選ぶのも、やはり合唱部分が多いからだと思います。
前回の「魔笛」は合唱は2曲でしたから、それに比べると倍以上。
皆さん、最初は目が点!(笑)という感じでしたが、結果的にはすべて暗譜でもちろん衣装をつけて、動いて、素晴らしいオペラ合唱団と化していました!
ご指導くださった先生方もさることながら、実は年齢層が若くない合唱団の皆さんの努力たるや!脱帽です!
年齢層のことを言うと、皆さんなんとなく冗談っぽく笑っていますが、真面目な話し、40代からの記憶力は、それまでに比べると圧倒的に低下していきます。
私自身も、それを如実に感じていますし、それで苦しむことも多くあります。
この合唱団は平均年齢60歳くらいだと思われますので、そこはかなり覚えるのに苦労がいると思います。
そこをなんとか完全暗譜で、舞台に立ったということが、とにかく凄いのです!
そして、何よりも皆さん、楽しんでらっしゃる!
これが何より素晴らしい!
御一緒している私も本当に楽しんでいました!
ありがとうございました!(^0^)
そうそう、今回は「カルメン」を一本というのではなくて、訳詞をし、台詞で繋いで、いわゆる構成舞台を創りました。
基本的にオペラ歌手にお願いしたのは主要4役。
後は合唱団の中からお願いして、台詞を喋っていただいたり、歌っていただいたりしました。
これが凄い!
レメンダートとしてMCの役割をしてくださった山下健一君。
長い台詞を全部覚えて、独特の声色と台詞回しで、プロと言っても遜色ない役を作っていただきました。
フラスキータの宮負治子さんとメルセデスの成毛由紀代さんは、オペラ歌手でも大変な二役を、良く歌ってらっしゃいました。声が綺麗で言葉がストレートに聴こえてきます。
こういう時、オペラ歌手は実は創りすぎているのかもしれないと思いますよね。
この素直な綺麗な声がちゃんと物語を進めてくださったいました。
本来はダンカイロという役を、今回は密輸団のボスとして歌ってくださった中澤正道さん。
6年前の「魔笛」の時も、山下君と一緒に僧侶をやってくださいました。
この方はものすごく音程と声が正確。安心して聴くことが出来ます。台詞もはっきり慌てないで喋られる。
指揮の佐藤さんが絶賛してました!
そして本来のズニガを軍人という役にして歌ってくださった板橋憲一郎さん。
実はこの方はオーディションを受けにいらしたのですが、その後合唱団に参加。しかし綺麗で伸びのある声をお持ちです。丁寧に対応していただき、絵を添えてくださいました。
こんなに沢山のことを担ってくださった合唱団の方々、本当にありがとうございました!
そして、今回ソリストで参加なさった方々、お疲れ様でした!
ほぼ皆さんが同じ年齢だったこともあって、チームワークがすごく良くて、久しぶりに大笑いしながら稽古を進めていました。
カルメン役の斎藤加奈子さん。
藤原歌劇団の準団員で、私も昔から良く存じ上げている方。オーディションを受けての挑戦でした。
身長もあり、堂々としている歌い姿が正にカルメン!声も年齢とともに豊な艶を感じてきました。
今回も、ハバネラを歌いだした途端、素晴らしく艶のある声に思わず耳が奪われました。
非常に頭の良い方で、一を伝えると10を知ると言う方。
しかし、それをもう一つ練りこんで、表に出した時には彼女のラインが丁寧に出来上がっていて、そこに安心感がある。
30代後半というのは、まだまだ自分の力量に自信を持つのに勇気が居る年代ですが、この舞台を通して、先の安心感みたいなものに磨きがかかった感じがします。これからが本当に期待できるメゾソプラノですね(^^)
同じくオーディションで選ばれたミカエラの小林未奈子さんは、昨年藤原歌劇団の育成部を終了したばかりの新人さんです。
おそらく、この公演がデビューかも。
初々しさもそうですが、彼女の元々持っている美しい声が本当に魅力的です。
清らかで強さを感じる。
御本人も明るくて前向き。とてもしっかりした気持ちを持っているように感じます。
今回は周りが経験のある先輩ばかりで大変だったと思いますが、御自分の持てる力をきちんと出し切った本番だったと思います。
もともとの持っている声や感性は素晴らしいものをお持ちなので、これから、本当に良い経験を積んでいかれることを祈ります。
結局は環境が自分を創っていくということもありますので。
将来が期待できるソプラノ歌手ですよね(^^)
ホセには望月光貴さんをお願いしました。
やはり藤原歌劇団の所属のテノールですが、この人の声は本当に素晴らしい!
久しぶりにBlliranteってこんな声だ!と堪能しました。
けれど輝かしいだけではなく、そこに優しさを感じる。
ホセにはぴったりでした!
実は、「カルメン」を演出するのは今回が初めてでした。
アシスタントでは何回とやって、内容に関してのノウハウはありますが、「自分が創るのならば」というヴィジョンはありませんでした。
こういうと怒られそうですが、最近私はその時参加してくれる歌い手さんが創ってくる音楽を聴かないと、ヴィジョンが浮かんでこないという、いかにもオペラ演出家(?)な感じで創っていくので、歌い手さんの声や音楽が動かないと、まったく困ったことになってしまうのです(^^;)。
しかし、彼と斎藤さんが作ってくださった音楽に私のヴィジョンを乗せて、本番で初めて成立した箇所が二箇所ほど。
1幕のセギディーリアと4幕の終幕の冒頭です。
本番観てびっくりでした(@@)
「あ、成立した」って感じ(笑)。
こういう瞬間を創るには、稽古場でただ話すだけなんですが、その話をちゃんと受け止めて、ただ歌ってくれたという感性に感動でした!
望月君には恐らく、そういう感性が沢山潜んでいると思います。
本人もまだ知らないものなのかも。
声のこともそうですが、その感性が開いた時、この人は想像できないくらい素晴らしいテノール歌手に成長するだろうなとものすごく期待しています。また御一緒出来たら嬉しい歌い手さんですね(^^)
同じく助演のエスカミーリオを歌ってくださった鶴川勝也君は、昨年のMMC公演「ポッペアの戴冠」にも出演していただきました。
その時はバロックのもので、彼の持っている綺麗な声の音色を堪能し、言葉を紡いでもらった感がありましたが、今回は花形闘牛士ということもあり、コーラスと一緒に歌う有名な「闘牛士の歌」など、華やかな雰囲気。
久方の二枚目役は、彼も楽しかったらしく(?)、まずは姿かたちがカッコ良かった!(^0^)
コーラスと一緒にソリストが歌う場合、当然マイクなど使うわけではありませんから、60名の合唱団が多く奈声で歌ったら、当然ソリストの声は消されてしまいます。
しかし、鶴川君の声は必ず聴こえてくる。
大きな声でというわけではなく、音色が勝っていると思います。
「ポッペア」の時もそうでしたが、本当に綺麗な音色。
そしてそれがどんなに大きな音楽を歌っても崩れません。最後に鶴川君の声だけがす~っと客席に飛んでくる。
もっと大きな声を出す人や、太い声で歌う人はいると思いますが、御本人の綺麗な響きを失くさずに、その声だけが最後にまっすぐ客席に飛んでくる快感は特筆!
ブッファもセリアもいける声と感性があります。
出切れば二枚目をやらせてあげたいけど、どっちも魅力がありますね。この人もこれからが楽しみな人。
こんなに素晴らしい歌い手たちをまとめてくださった指揮者は、大先輩の佐藤宏さん。
昨年の仙台での公演も御一緒していただき、また楽しい時間を過ごさせていただきました。
先ほども書きましたが、最近の私は、とにかく音楽をちゃんと演奏して欲しい感がものすごくあるんです。
歌い手は歌うことが仕事。
しかし、ただ歌うのは仕事じゃない。
思いと言葉を伝えるのが仕事なわけですが、それは誰かに聴いて創るものじゃない。
歌い手自身が創るものだと思っています。
そこを司るのが指揮者の役目。
私は、浮かび上がった音楽を絵にして客に観せることが仕事なんです。
だから一々「どうしますか?」と聴かれると切れる(笑)。
佐藤さんは、私の師匠も一目置いている指揮者です。
彼が何が素晴らしいかというと、ちゃんと仕事をしているから。
へんな言い方ですが、それは最終的には「客への責任」なんです。
歌い手たちやオーケストラとどういう音楽空間を創るのか、すべて、彼に任されています。
でも、利己的にそれを受け止めるのではなく、彼はすべての人たちの仕事をまとめる才能に長けているのです。
例えば、1幕のカルメンの「セギディーリア」も、どうやって歌いだすかを斎藤さんと話して「後は彼女に任せよう」と最後に私と打ち合わせをします。
これを不思議に思う人はいると思います。
演技のことは演出家に聞けというわけですよね。
でも、この場合は斎藤さんがどうしたいかが重要です。
歌い手たちはみんな同じ思いやバイオリズムを持っているわけではありません。
その時、その時、感じることは千差万別。
それを演出家に聞くなんて愚問です。
私も答えられません。
多分聴かれても「どうする?」と歌い手に聞き返します。
そういうことをきちんと理解して、現場を回すことが出来るのが佐藤さんです。
御一緒して勉強になることばかり。
今回も密かに沢山経験しました(^^)V
舞台上のことは、ザ・スタッフの大澤裕さんという舞台監督さんが、本当に丁寧に細かくお仕事していただきました。
予算も厳しく、舞台監督以外はプランナーも今回はお願いせずに、ホールの方に創っていただき、台組みや蹴込みの色塗りなども全部ホールの方と大澤さんで創っていただきました。
それを考案して指示するだけでなく、やった方々の達成感までも考えていただいて、きちんとお仕事していただきました。
佐藤さんもそうですが、若いときから御一緒している大先輩とこうやって演出家としてお仕事できるということは、なんか、やってて良かったな~と思う瞬間なんですよね~(笑)。
本当に嬉しかったです!
公演を一つ終えると、こうやって宝物を沢山いただいたんだと改めて認識します。
自分自身に得たものは、多分次回の仕事の時に、「あ、これが出来るようになってた」と言う瞬間までわからないものなのですが、終わってからの満足感や心地よさを考えると、本当に良い公演だったとわかります。
こういう機会は一期一会。
来週からは、3月の大学院オペラ公演の稽古が始まります。
「好き」を仕事に出来ている幸せ。実感中!(><)
また旭市に特急に乗って通う日が来るその時まで、皆さん、どうぞお元気で!!
そして、会場に足を運んでくださったお客様、本当にありがとうございました!!
寒いと手の調子があんまり良くないのと、このところずっと千葉県の旭市というところに通っていましたから、ブログは長々とお休みでした。
その千葉県旭市で、昨日、オペラ「カルメン」が上演されました!
今回は、東総文化会館というところの20周年記念と言う事で立ち上がった企画でしたが、昨年の震災で大きな被害があり、旭市は被災地となりました。
故に、震災復興支援事業の一環として改めて行われることになった、意味のある公演でした。
ビゼー作曲オペラ「カルメン」は、御存知の方も多くいらっしゃると思うのですが、人を傷つけてセビリアに流れてきて軍隊に入ったドン・ホセが、ジプシーの女であるカルメンと運命的な出会いをし、結局破滅に向かって行くという内容。
復興支援事業となったとき、この内容が問題になるかと危惧しましたが、そこは主催者である東総文化会館の御尽力を得て、最後のカルメンがホセにナイフで刺されるというショッキングなシーンも、そのまま行われました。
東総文化会館では、2006年に「魔笛」を上演したという縁があります。
その時は初めてオペラを上演すると言う事で、紆余曲折しながら、ホールの職員の方々にも御協力いただいて、結果的に素晴らしい公演となった思い出深いホールです。
その時、プランナーで参加してくれたスタッフたちも、今は第一線で活躍中。
ホールの主催ということで、ほぼ本番で使う舞台が稽古場になるという贅沢な環境でしたし、良い経験を与えていただいたと思います。
今回も、そこは変わらず、ホールの職員の方々、制作を担当なさったSさんも同じように御尽力いただきました。
ソリストは基本地元の方をオーディションで選ぶという方向でしたが、カルメンを歌われた斎藤加奈子さんは東京の方、ミカエラを歌われた小林未奈子は地元千葉の方が選ばれ、ホセの望月光貴君とエスカミーリオの鶴川勝也君は、助演としてお願いしました。
そしてここの特色である合唱団。
千葉県県民合唱団と言って、登録をして団員となり、公演ごとに参加者を募るというシステムのようです。
今回も60人くらい集まってくださいました。
素晴らしかったのは、6年前の「魔笛」に参加してくださった方が今回も参加してくださって、懐かしいお顔を見せてくださったこと。
舞台スタッフもボランティアの方を募集するのですが、そこにも懐かしいお顔がありました(^^)!
たかが6年、されど6年。
生まれたばかりの子供が小学生になりますよね。
皆さんお変わりなくお元気で、今回も一生懸命頑張ってくださいました!
「カルメン」は合唱オペラです。
地方やアマチュアの団体が公演演目に選ぶのも、やはり合唱部分が多いからだと思います。
前回の「魔笛」は合唱は2曲でしたから、それに比べると倍以上。
皆さん、最初は目が点!(笑)という感じでしたが、結果的にはすべて暗譜でもちろん衣装をつけて、動いて、素晴らしいオペラ合唱団と化していました!
ご指導くださった先生方もさることながら、実は年齢層が若くない合唱団の皆さんの努力たるや!脱帽です!
年齢層のことを言うと、皆さんなんとなく冗談っぽく笑っていますが、真面目な話し、40代からの記憶力は、それまでに比べると圧倒的に低下していきます。
私自身も、それを如実に感じていますし、それで苦しむことも多くあります。
この合唱団は平均年齢60歳くらいだと思われますので、そこはかなり覚えるのに苦労がいると思います。
そこをなんとか完全暗譜で、舞台に立ったということが、とにかく凄いのです!
そして、何よりも皆さん、楽しんでらっしゃる!
これが何より素晴らしい!
御一緒している私も本当に楽しんでいました!
ありがとうございました!(^0^)
そうそう、今回は「カルメン」を一本というのではなくて、訳詞をし、台詞で繋いで、いわゆる構成舞台を創りました。
基本的にオペラ歌手にお願いしたのは主要4役。
後は合唱団の中からお願いして、台詞を喋っていただいたり、歌っていただいたりしました。
これが凄い!
レメンダートとしてMCの役割をしてくださった山下健一君。
長い台詞を全部覚えて、独特の声色と台詞回しで、プロと言っても遜色ない役を作っていただきました。
フラスキータの宮負治子さんとメルセデスの成毛由紀代さんは、オペラ歌手でも大変な二役を、良く歌ってらっしゃいました。声が綺麗で言葉がストレートに聴こえてきます。
こういう時、オペラ歌手は実は創りすぎているのかもしれないと思いますよね。
この素直な綺麗な声がちゃんと物語を進めてくださったいました。
本来はダンカイロという役を、今回は密輸団のボスとして歌ってくださった中澤正道さん。
6年前の「魔笛」の時も、山下君と一緒に僧侶をやってくださいました。
この方はものすごく音程と声が正確。安心して聴くことが出来ます。台詞もはっきり慌てないで喋られる。
指揮の佐藤さんが絶賛してました!
そして本来のズニガを軍人という役にして歌ってくださった板橋憲一郎さん。
実はこの方はオーディションを受けにいらしたのですが、その後合唱団に参加。しかし綺麗で伸びのある声をお持ちです。丁寧に対応していただき、絵を添えてくださいました。
こんなに沢山のことを担ってくださった合唱団の方々、本当にありがとうございました!
そして、今回ソリストで参加なさった方々、お疲れ様でした!
ほぼ皆さんが同じ年齢だったこともあって、チームワークがすごく良くて、久しぶりに大笑いしながら稽古を進めていました。
カルメン役の斎藤加奈子さん。
藤原歌劇団の準団員で、私も昔から良く存じ上げている方。オーディションを受けての挑戦でした。
身長もあり、堂々としている歌い姿が正にカルメン!声も年齢とともに豊な艶を感じてきました。
今回も、ハバネラを歌いだした途端、素晴らしく艶のある声に思わず耳が奪われました。
非常に頭の良い方で、一を伝えると10を知ると言う方。
しかし、それをもう一つ練りこんで、表に出した時には彼女のラインが丁寧に出来上がっていて、そこに安心感がある。
30代後半というのは、まだまだ自分の力量に自信を持つのに勇気が居る年代ですが、この舞台を通して、先の安心感みたいなものに磨きがかかった感じがします。これからが本当に期待できるメゾソプラノですね(^^)
同じくオーディションで選ばれたミカエラの小林未奈子さんは、昨年藤原歌劇団の育成部を終了したばかりの新人さんです。
おそらく、この公演がデビューかも。
初々しさもそうですが、彼女の元々持っている美しい声が本当に魅力的です。
清らかで強さを感じる。
御本人も明るくて前向き。とてもしっかりした気持ちを持っているように感じます。
今回は周りが経験のある先輩ばかりで大変だったと思いますが、御自分の持てる力をきちんと出し切った本番だったと思います。
もともとの持っている声や感性は素晴らしいものをお持ちなので、これから、本当に良い経験を積んでいかれることを祈ります。
結局は環境が自分を創っていくということもありますので。
将来が期待できるソプラノ歌手ですよね(^^)
ホセには望月光貴さんをお願いしました。
やはり藤原歌劇団の所属のテノールですが、この人の声は本当に素晴らしい!
久しぶりにBlliranteってこんな声だ!と堪能しました。
けれど輝かしいだけではなく、そこに優しさを感じる。
ホセにはぴったりでした!
実は、「カルメン」を演出するのは今回が初めてでした。
アシスタントでは何回とやって、内容に関してのノウハウはありますが、「自分が創るのならば」というヴィジョンはありませんでした。
こういうと怒られそうですが、最近私はその時参加してくれる歌い手さんが創ってくる音楽を聴かないと、ヴィジョンが浮かんでこないという、いかにもオペラ演出家(?)な感じで創っていくので、歌い手さんの声や音楽が動かないと、まったく困ったことになってしまうのです(^^;)。
しかし、彼と斎藤さんが作ってくださった音楽に私のヴィジョンを乗せて、本番で初めて成立した箇所が二箇所ほど。
1幕のセギディーリアと4幕の終幕の冒頭です。
本番観てびっくりでした(@@)
「あ、成立した」って感じ(笑)。
こういう瞬間を創るには、稽古場でただ話すだけなんですが、その話をちゃんと受け止めて、ただ歌ってくれたという感性に感動でした!
望月君には恐らく、そういう感性が沢山潜んでいると思います。
本人もまだ知らないものなのかも。
声のこともそうですが、その感性が開いた時、この人は想像できないくらい素晴らしいテノール歌手に成長するだろうなとものすごく期待しています。また御一緒出来たら嬉しい歌い手さんですね(^^)
同じく助演のエスカミーリオを歌ってくださった鶴川勝也君は、昨年のMMC公演「ポッペアの戴冠」にも出演していただきました。
その時はバロックのもので、彼の持っている綺麗な声の音色を堪能し、言葉を紡いでもらった感がありましたが、今回は花形闘牛士ということもあり、コーラスと一緒に歌う有名な「闘牛士の歌」など、華やかな雰囲気。
久方の二枚目役は、彼も楽しかったらしく(?)、まずは姿かたちがカッコ良かった!(^0^)
コーラスと一緒にソリストが歌う場合、当然マイクなど使うわけではありませんから、60名の合唱団が多く奈声で歌ったら、当然ソリストの声は消されてしまいます。
しかし、鶴川君の声は必ず聴こえてくる。
大きな声でというわけではなく、音色が勝っていると思います。
「ポッペア」の時もそうでしたが、本当に綺麗な音色。
そしてそれがどんなに大きな音楽を歌っても崩れません。最後に鶴川君の声だけがす~っと客席に飛んでくる。
もっと大きな声を出す人や、太い声で歌う人はいると思いますが、御本人の綺麗な響きを失くさずに、その声だけが最後にまっすぐ客席に飛んでくる快感は特筆!
ブッファもセリアもいける声と感性があります。
出切れば二枚目をやらせてあげたいけど、どっちも魅力がありますね。この人もこれからが楽しみな人。
こんなに素晴らしい歌い手たちをまとめてくださった指揮者は、大先輩の佐藤宏さん。
昨年の仙台での公演も御一緒していただき、また楽しい時間を過ごさせていただきました。
先ほども書きましたが、最近の私は、とにかく音楽をちゃんと演奏して欲しい感がものすごくあるんです。
歌い手は歌うことが仕事。
しかし、ただ歌うのは仕事じゃない。
思いと言葉を伝えるのが仕事なわけですが、それは誰かに聴いて創るものじゃない。
歌い手自身が創るものだと思っています。
そこを司るのが指揮者の役目。
私は、浮かび上がった音楽を絵にして客に観せることが仕事なんです。
だから一々「どうしますか?」と聴かれると切れる(笑)。
佐藤さんは、私の師匠も一目置いている指揮者です。
彼が何が素晴らしいかというと、ちゃんと仕事をしているから。
へんな言い方ですが、それは最終的には「客への責任」なんです。
歌い手たちやオーケストラとどういう音楽空間を創るのか、すべて、彼に任されています。
でも、利己的にそれを受け止めるのではなく、彼はすべての人たちの仕事をまとめる才能に長けているのです。
例えば、1幕のカルメンの「セギディーリア」も、どうやって歌いだすかを斎藤さんと話して「後は彼女に任せよう」と最後に私と打ち合わせをします。
これを不思議に思う人はいると思います。
演技のことは演出家に聞けというわけですよね。
でも、この場合は斎藤さんがどうしたいかが重要です。
歌い手たちはみんな同じ思いやバイオリズムを持っているわけではありません。
その時、その時、感じることは千差万別。
それを演出家に聞くなんて愚問です。
私も答えられません。
多分聴かれても「どうする?」と歌い手に聞き返します。
そういうことをきちんと理解して、現場を回すことが出来るのが佐藤さんです。
御一緒して勉強になることばかり。
今回も密かに沢山経験しました(^^)V
舞台上のことは、ザ・スタッフの大澤裕さんという舞台監督さんが、本当に丁寧に細かくお仕事していただきました。
予算も厳しく、舞台監督以外はプランナーも今回はお願いせずに、ホールの方に創っていただき、台組みや蹴込みの色塗りなども全部ホールの方と大澤さんで創っていただきました。
それを考案して指示するだけでなく、やった方々の達成感までも考えていただいて、きちんとお仕事していただきました。
佐藤さんもそうですが、若いときから御一緒している大先輩とこうやって演出家としてお仕事できるということは、なんか、やってて良かったな~と思う瞬間なんですよね~(笑)。
本当に嬉しかったです!
公演を一つ終えると、こうやって宝物を沢山いただいたんだと改めて認識します。
自分自身に得たものは、多分次回の仕事の時に、「あ、これが出来るようになってた」と言う瞬間までわからないものなのですが、終わってからの満足感や心地よさを考えると、本当に良い公演だったとわかります。
こういう機会は一期一会。
来週からは、3月の大学院オペラ公演の稽古が始まります。
「好き」を仕事に出来ている幸せ。実感中!(><)
また旭市に特急に乗って通う日が来るその時まで、皆さん、どうぞお元気で!!
そして、会場に足を運んでくださったお客様、本当にありがとうございました!!
# by kuniko_maekawa | 2012-01-30 17:04 | 演出家のつぶやき | Comments(0)



