メトロポリタン歌劇場公演オペラ「Tosca」

NYでの二日目。
お昼間はメトロポリタン美術館へ。この詳細は姉妹ブログの「うさぎ屋日記」にアップしてありますので、そちらもお楽しみいただくとして・・・、行ってきました、リンカーンセンター。
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はい、メトロポリタン歌劇場です。

この日はプッチーニの超有名なオペラ「トスカ」。

多分、一番好きなオペラだと言う人が五萬といる作品なんじゃないでしょうか?

御他聞にもれずに私もプッチーニの中では一番好きです。
内容よりも音楽が、とにかく好き。

実は自己プロデュースを最初にした作品も「トスカ」でした。

なので、楽譜の内容もリブレットも、かなりの確立で覚えているもの。

メトロポリタン歌劇場も私の中では世界一です。
ちなみに次がクライドボーンで、その次はロイヤルオペラとかリヨンとかかな?

でも、これは劇場内のことではなくて、この劇場が上演する作品とか演出とかでの基準です。

メトが良いのは、オリジナル作品があること。

有名なのは「ベルサイユの幽霊」ですが、この作品を観た時に、ほんとにガツンとやられました。

オペラ作品もあらゆる原語のものをやるし、何よりレバインの肉質なエネルギーが好き。

クラシックな劇場でありながら、ポップな部分も忘れないというオリジナルな感覚が良いのですね。

やっぱり劇場を目の前にすると、期待感満載。

有名な噴水とかみながら、ここでシェールがニコラス・ケイジと踊ったのよ~などと映画の一場面を思い出しながらテンション上がり気味です。
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しかし・・・・しかしですよ・・・・

残念ながら、この日の「トスカ」は史上最悪のプロダクションでした(^^;)。

まず、座った席が残念賞。

上手側のボックス席だったのですが、客席や天井は素晴らしく見渡せても、舞台は中央より下手しか見えず、1幕などは、カヴァラドッシの書いている絵が上手側だったために、何も見えず。

日本円で8千円の席でしたが、立ち見となりました。

ただ、当然オーケストラ席などにいけばチケット代はもっと高かったのでしょうから、こんなものなのか~とがっかり。

それでも、例のシャンデリアが上がって開幕となると、やっぱり感動。

それで大人しく舞台を観たわけですが・・・・・・。

この演出が、ほんっとに最悪。

舞台設定を19世紀末に設定しており、服装もそれに見合った少しだけ現代風と言う奴。

そこまではまだ許すとして、二幕になった時に、いきなりスカルピアが二人の女と絡んで飲んだくれている。

しかも、その二人はモダンガールでアールデコ調の模様が壁にちょこっと書いてあり、いわゆる衣装もあの時代のおかっぱにノーウエストの短いもの。

最初にトスカのことをモノローグで歌うのに、一々女が下品に反応して最悪。

女のケツ触りながら、あのモノローグをスカルピアが歌うなんて信じられない。
あまりにも内容を知らな過ぎ。

歌い手は最高でした。

特にスカルピアを歌ったプリン・ターフェルは圧巻。

DGやフィガロ、サロメのヨハナーンなど、彼の音楽も歌も大好きな人でしたが、ここでのスカルピアは正に美声としか言いようの無い、綺麗な軽めの声。

実は、いつもの癖で、誰が歌うとか演出家とか調べていかなかったので、これは嬉しいサプライズ。

1幕の第一声で「誰だ~これ~!」と大興奮。休憩中に情報を捜し求め、びっくりしたと言う訳ですが、この綺麗な響きは二晩目の「椿姫」でジェルモンを歌った、トマス・ハンプソンにも感じましたから、もしかしたら、メトの劇場の響きがそうなのかもしれません。

つまり、歌い手の声との共鳴がすごく良いのかも。

どこで響いてくるのか解らない、まっすぐな飛び方を感じましたし、何というか、そこで歌っている人たちがすごく楽に一番良い響きで歌えるというか、そんな感じでした。

カヴァラドッシも今話題のカウフマンで、かなり良い歌唱でした。
ルックスも演技もよくて、この演出でなければ本当に良かったのに~!

主役の「トスカ」を歌った人は、本来のプリマと代わって歌ったソプラノでしたが、彼女も歌唱は素晴らしかったです。
ただ、もしかして初役なのか、まだ経験が少ないのか、あまり大きなものを感じなかった。
特筆はありません。

実は音楽も、淡白であまり好きではなかった。
イタリア人の指揮者でしたが、別にイタリア人だからと言って、オペラが素晴らしく良いと感じるかどうかは最近疑問。

誰であっても、音楽性は感性相性ですから、自分の好みにもよりますが。

それにしても、こんな一流の舞台でも、ひどい演出や音楽はあるもんで、この日は改めてそれを実感した夜でした。
この劇場で見てよかったな。と言う感じ。

私が演出したものの方がはるかに良かったと自負したくらいでしたが、そう考えると、自分たち、あるいは私以外の日本の演出家や音楽家のレベルの何が劣るのかと改めて思います。

私の教え子がメトでデビューして、ずっと世界を歌って回ってますが、仕事をすると言うことは、国籍の問題ではなく、ヴィジョンの問題だと言っていました。

つまり、才能はどの国の人でも同じ。

後は、自分が仕事をする場所をどこにするかの問題。

その教え子は日本に帰ると「日本で仕事をするには」とか言う、おせっかいな助言を必ず受けるそうです。

そんなこと、何で必要なんでしょう。

彼女にとっては日本以外が仕事場になったってことだけなのに。

私がNYを選んだ理由はそこにあります。

仕事が出来る可能性がある。

大きなことを言ってると思うのは、もうすでに自分を狭めています。

何処でも、どの国でも、どの歌劇場でも、仕事はあります。

自分がどこで何をするかを選択するだけです。

NYに行って思ったことはこのことだけでした。

日本という小さな国でも、まだ自分の場所を確立できない私がこんなことを思うのは、周りから見れば変みたいですが、言語や環境が違うだけで、同じ人間ですから。

それにしても、客席に座っている人たちのオペラの楽しみ方が色々で面白かったです。

これは、多分、アメリカだからかも。

この日も、次の日も、お隣のおばあさんがニコニコと対応してくれて、色々と感想なども話してくれました。

感動すれば、素直に声を上げて、スタンディングオベーションをする。

つまらなければ、ぶ~!と激しく声を上げて抗議する。

カヴァラドッシが2幕で「Vittoria!」と高い声を張り上げれば、お約束の拍手です。楽しすぎた(笑)。

とにかく、メトは遠くて近かったというお話でした!




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by kuniko_maekawa | 2010-05-02 18:28 | 観劇日誌 | Comments(0)