想像力

私は、現在和物のオペラのアシスタントに着いています。日本オペラのことを「和物」と呼ぶのですが、このところ、稽古を観ていて、非常に感じることがあります。それが、お題の「想像力」。意味合いの範囲としては広いのですが、私が言いたいのは、言葉に対する想像力です。それとも、感性でしょうか、どういう呼び方をして良いかわかりませんが、今、稽古場で苦労していることの一つには、想像力が足らないと言うことがあると思うのです。
どういうことかといいますと、今扱っている作品は、「和物」と言うことは、当然日本語です。私たちが、日常使っている言葉で、生まれたときから親しんでいる響きですが、なぜか、イタリア語を扱うより、日本語を扱う方が、皆さん苦労なさっているようなのです。時代的には古い言葉が多く出てきますが、それも理解できないような難しさではありません。しかし、その単語にイメージが足らない。それから、歌っている言葉が、どういう意味合いを持っているのか、どういう方向性があるのか、それが膨らんでこない。解釈されてないのですね。
しかし、日本語だからこそ、われわれは想像力を豊かにして、言葉を扱わなければいけません。それは、無意識にわかると思ってしまうからです。日本語なんだから、お客様だって、わかる。そんなことありません。どんなにはっきり喋っても、歌っていると発語が乱れてしまいますから、すべてがはっきり聴こえるわけではありません。最近では、日本語のオペラにも字幕をつけることもあります。そのハードルを越えるには、歌い手さんの想像力如何によります。
これが外国語なら、端から言葉の意味がわかりませんから、辞書を引きますし、解釈をします。その同じ作業が、日本語にも必要なのです。
先月千葉でやった「魔笛」が成功だった理由の一つに、指揮の佐藤宏さんが、非常に、日本語の発語しやすいテンポを作ったことがあります。初めて聴くお客様に、日本語がちゃんとわかるように。結果、ちゃんと言葉が理解された上でのヴィジュアルがあったので、喜んでいただいたと言うわけです。
今の稽古場は、歌い手さん達の個々のレベルは高く、皆さん力量を持った方々ばかり、しかし、ご自分達の扱っている言葉に、イメージを持って、歌ってらっしゃる方は一握り。違いは息でわかります。一人、すごくそういうことに感性がある歌い手さんがいて、私は大好きなのですが、彼の言葉は一言一句、色があります。日本語だからこそ、感じる色なんです。それこそ、私も目指すことなんですが・・・・。言葉をつたえること。何語であろうと、それがまず、オペラの基本的なことだと、私は思っています。
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by kuniko_maekawa | 2006-02-03 23:53 | トレーナーのつぶやき | Comments(0)

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