舞台時間

さて、本日は新国での仕事GPでした。今、「愛怨」と言う、新作物をやっています。後一回GPをすれば、あさって本番。今回は時間も少なく、しかも、新作物ということで、もちろん作曲家も詰めていますから、色々音が変わったり、サイズが変わったり、生ものを扱っている稽古でした。
さて、先の記事でも、場当たりのことを書きましたが、舞台で稽古するときに、一番気をつけているのは、時間です。もちろん、普段の生活の通りに、24時間時間は流れているのですが、劇場で流れている時間を読み間違えると、これが大変なことになるのです。私は、これを舞台時間と命名しています。どういうことかといいますと、劇場には時間制限があります。まあ、何をやってもそうでしょうが、新国の場合は、10時から22時まで。この時間帯で使用できる様になっていますが、この時間は、作業可能な時間帯。10時ジャストに入ってから、22時ジャストに劇場を出るということです。その中で、やらなければいけないことが、一杯あるわけですが、それを区切っていくのが、これまた時間です。当たり前だといわれそうですが、結構大変なんですよ。だって、その時間を使いたいセクションが、少なくとも、4つ以上はあるわけですから。
まず、演出家です。それから、照明家、音響、舞台美術家、そして指揮者。この人たちが、いっせいにやりたいことをやるには、どうしても時間を区切ります。これを仕切るのが舞台監督。
例えば、ある日のスケジュールは、ざっと、こんな感じ。
10時:明かりあわせ
12時:転換稽古
14時舞台稽古開始
18時修了1時間休憩
19時オーケストラ返し稽古
20時:明かりあわせ
21時:修了
てな具合、ですが、この間に駄目だしや、衣装の直しや、小道具の直し、いろんなことが劇場では起こっています。
私たち演出助手も、時間をうまく扱うことが出来る様になれば、1人前。私は20年近くこの仕事をやってる分だけ、だいたいはうまくいく様になってきました。例えば、舞台稽古など、今回は転換も合わせて、やっていきましたから、二日間かけて全幕稽古するつもりで、スケジュールを組みました。その時に必要な情報は、時間と質量。例えば、1景は何分かかって、転換がどれくらいの量で、人がかかわっているのかいないのかとか、そういうことです。それによって、この景は音をつけて、両組やるとか、この景は動きだけ確認するとか、それを判断していきます。それを尚且つ、大きな時間枠で仕上げていくのですから、2時間なら、2時間の時間の感覚もないといけません。つまり、細かい景を稽古する時間を頭の中で、足し算とか引き算とかしていきながら、大きな計算は2時間の中なのです。だから、まず2時間ってどれくらいかという、まったく感覚的な長さが想像できてないと、時間をうまく扱えません。これが、舞台時間。どのセクションも、そうやって動いています。衣装は、何景に誰が、何を着るから、この時間で楽屋に入ってとか、これだけ照明をやりたいから、30分くれとか、みんなその時間を出すとき、頭の中で質量と、細かい計算をしているのです。こればっかりは、ちょっと普通の人とは違う才能かも(笑)。
もともと、公演時間自体が長いものですから、何をやっても時間がかかります。海外の様に24時間劇場が使えるわけではありませんから、当然、限られた時間で仕上げるために、皆お尻に火がついた状態です。それでも、仕上がってくれば、自然と時間も余裕が出来てくる様になり、いつのまにか本番です。何度も経験していることですが、それでも狐につままれた気持ちになることしばし。舞台って、こんなところも面白いんです。(^^)
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by kuniko_maekawa | 2006-02-16 00:16 | オペラなお仕事 | Comments(0)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。


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