新国立劇場「愛怨」

やっと初日が開けました。今回は、稽古インから本番まで一ヶ月無いという、新作物にはありえないスケジュールでしたが、キャスト、スタッフ一丸となってという、表現が本当にぴったりなくらい、みなで頑張って、創りあがった舞台だった様に思います。
さて、鳴り物入りの新作は、台本が瀬戸内寂聴さん。作曲が三木稔さん。ずいぶん前から、話題性だけはありました。時代は、日本の奈良時代。楽士である大野浄人が、妻、桜子を日本において、遣唐船で唐にわたります。聖明女帝から、秘曲「愛怨」を唐の光貴妃より賜って来いというもの。ところが、浄人の乗った船が嵐にあい沈没。桜子はそれを聞かされて、夫が死んだと気が触れて、池に飛び込み自殺をします。しかし、浄人はなんとか唐にたどり着いていた。そこで、偶然阿倍奈香麻呂(阿倍仲麻呂)に助けられ、光貴妃の下に。そこには桜子にそっくりの柳玲という、琵琶の弾き手がいた。ここから、この二人の恋愛物語になっていきます。
物語は、大恋愛大河ロマン。そこに、三木さんの歴史的観念なども入り、ほんとに大河ドラマを見ているよう。音楽も雄大で、オーケストラもワーグナー的に厚いです。ソリストは大変でした。
演出は恵川智美さん。国を行き来し、歴史的背景や、その中でのフィクションの部分も、丁寧に、尚且つわかりやすく、本当に素晴らしい演出でした。舞台美術家の荒田良さん、衣装家合田瀧秀さん、各プランナーの才能が、作品を創るために従事しているという、まさに職人的な作品創りだったと思います。お三方とも、大先輩ですが、今回も色んな経験と、勉強をさせていただきました。
今日は初日組みで、ソリストも本当に素晴らしく、特に、浄人の経種康彦さん、柳玲の釜洞さん、お二人は日本語の歌唱も綺麗で、発語がわかりやすいし、やはり、歌い手さんとしての身体能力や、和物の所作など、本当に勉強なさっているのだと、感心しました。もちろん、内容に関しても、言葉のイメージや、音楽の感じ方など、それぞれに才能を持ってらっしゃいます。脇を固める、黒田博さん、峰茂樹さん、柴山昌宣さんなど、きちんと場面での居方が出来る人たちで、全部で14景のこの作品の、どの場面も見ごたえのあるものでした。私の一押しは、阿倍仲麻呂こと朝慶を歌った田中誠さん。お仕事するのは久しぶりでしたが、綺麗な息の歌い手さんで、身体も大きく、存在感があるのですが、決して舞台で邪魔な居方はせず、まさに圧巻。阿倍仲麻呂という人は、18歳で唐に渡って、皇帝に気に入られ、結局日本に戻れなかった人です。百人一首にある、「あまのはら、ふりさけみれば、春日なる、三笠の山にいでし月かも」この句をご存知でしょうか?これを詠んだのが阿倍仲麻呂。今回の作品でも重要な役どころにいます。
そして、楽しかったのが、合唱団恵川さんの演出の特色でもあるのですが、合唱団一人一人に、細かい設定があり、それをメンバーの方々が、それぞれ膨らませてくださって、面白い舞台が出来ました。本番は19日まで。皆様一度、覗いてみてください。日本のオペラ界も、まだまだ元気だと、嬉しくなりますから(^^)v
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Commented by izumi at 2006-02-18 08:27 x
初めまして。19日のチケットを買っているのですが、こちらのプログでメイキングの様子などを読んで楽しみにしていました。いろいろ鑑賞のポイントが書かれているようなのでつぼを押さえてみてきます!
Commented by izumi at 2006-02-18 08:27 x
初めまして。19日のチケットを買っているのですが、こちらのプログでメイキングの様子などを読んで楽しみにしていました。いろいろ鑑賞のポイントが書かれているようなのでつぼを押さえてみてきます!
Commented by kuntz at 2006-02-20 19:17
いらっしゃいませ!19日はいかがでした?また感想など書き込んでいってください!
Commented at 2006-03-07 22:29 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by kuniko_maekawa | 2006-02-18 01:38 | 観劇日誌 | Comments(4)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。


by kuniko_maekawa