南條年章オペラ研究室オペラ全曲シリーズ「カルメル会修道女の対話」

久しぶりに、オペラを聴いて、泣いちゃいました。や~、ちょっと号泣(^^;)。はい、本日は千駄ヶ谷の津田ホールに、表題の演奏会を聴きに行ってきました。このオペラは日本でも上演されていますが、きわめて回数が少なく、しかも、原語上演(仏語)となると、いつだかサイトウキネンでやったくらいではないでしょうか。作曲はプーランクです。フランス革命後の恐怖政治の中、無神論主義から、宗教が弾圧されます。その中で殉教した12人の修道女の話ですが、興味深いのは実話だと言うこと。こういった、弾圧はロベスピエールの代等の元、多く行われていたようですが、この実話の修道女たちの処刑が、ロベスピエール失脚の10日前だったそうで、その結果、有名になったのだということでした。この修道女たちは実は13人いて、その中の一人だけが、パリに出かけていて、難を免れています。そして、この修道女が史実を書き残したものが小説になり、戯曲になり、映画になり、プーランクの作曲により、オペラになったわけです。
この南條年章先生には、日本オペラ振興会育成部のディクションの先生をやってらっしゃった時、私はスタッフとしてこの育成部のクラスに入るようになり、出会いました。教育と言うものに、心血を注いでらっしゃって、確実に歌い手さんを育てていらっしゃいます。門下の歌い手さんも、二期会や藤原などの本公演で、ソリストとして活躍されています。ですから、門下発表会などに行くと、本当にごちそうさま!というくらい、堪能できます(笑)。さて、この南條先生によって、「カルメル会修道女の対話」は日本初演されました。この育成部の修了公演によってです。訳詞も南條先生。本当に多才な方です。私はこれにもスタッフで関わっていましたから、ものすごく作品としても大好きでした。今日の公演は南條オペラ研究室の15周年記念の公演です。それにたがわず素晴らしい公演でした。
何にもまして、主役のブランシュを歌った、平井香織さんが素晴らしかった!彼女は実は音大の同級生なのですが、元々素晴らしく歌のうまい人でしたけど、それが年齢と共に、段々幅が広くなっていく感じで、40代に入った、現在、本当に綺麗な体と、息と素晴らしい声、何より、彼女自身の役の解釈の深さなど、舞台上を自由に使っています。歌えば歌うほど、この人は体の力が抜けていき、まるで会場全体を包むように、声が伸びてくる。こんなに気持ちよく声を出す人も、めったにお目にかかりません(笑)ブランシュと言う役は非常にエキセントリックで、尚且つ歌唱としても大変難しいと思いますが、それを見事に歌いきっていました。
各役の歌い手さんたちが、それぞれに素晴らしい歌唱でしたが、このオペラ研究室公演の楽しみは合唱です。何せ、一人一人が、超ソリストですから、合唱の声が素晴らしく美しく、深みがあります。このオペラは最終場、13人の修道女たちが断頭台の露と消えていくのですが、その時「Salve regina」と言う聖歌が歌われます。楽曲の中で、これを歌いながら、首を切る音が鳴り、一人ずつ倒れていきます。その後ろで群集がずっとハミングやAhで合唱をしており、非常に心を打たれるのですが、この合唱が、ものすごく良かったんですよ。それに泣かされた感じ。
まもなく洗礼を受ける私は、前は感じなかったことを、一杯感じて、それで心を打たれると言うこともあったのですが、やはり、彼らの音の素晴らしさに涙が出たことは間違いありません。とにかく、素晴らしい演奏会でした。
南條先生は、この演奏会を毎回、企画なさり、歌い手たちにもノルマも課さずに、全部御自分でやってらっしゃいます。毎回、素晴らしい公演で、まさに頭が下がります。いつまでも、お元気で、ずっと、このシリーズを公演して行っていただきたい。こんな風に、心を打たれる演奏会も、めったに無いですもんね。学ぶべきものが沢山あった、今日の演奏会でした。
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by kuniko_maekawa | 2006-06-04 22:50 | 観劇日誌 | Comments(2)

Commented by sop-hitomi at 2006-06-05 23:29
南條先生は素晴らしい方ですね。ノルマを課していないとは…。ファンも多いからチケットがはけちゃうんでしょうね。うらやましい。
しかし、うさぎ屋さんにとって時期的にぴったりのオペラでしたね。
Commented by うさぎ屋店主 at 2006-06-05 23:51 x
いやいやまさに。実は、今も勉強しながら(次のレッスンの辞書引きです)「カルメル」のVD流してました(^^)。しかも、昨日はペンテコステといって、キリストが磔にされて復活し、10日後に昇天され、聖霊となって弟子たちに降臨され、弟子たちが福音を始めた日です。もうね、礼拝からやたらと賛美歌に泣けてたんですけど、もう、滂沱の涙ですよ。恥ずかしいったら。南條門下は本当に、素晴らしいですよ。発表会も毎回行くのですが、お弟子さんたちが、皆、それぞれの持ち声で育ってらっしゃる。レッスンの仕方を聞くと、「僕はこの声でいいと思うけど、君はどう思う?」と言うような、対話形式だそうです。良く、同じような声をつくる先生がいるけど、それとは全然違う自由さを感じますよ。教えると言うことが、自分のコピーを作るのではないこと、学ばされます。(^^)