アマデウス・コード

3,4日と、博多でお稽古してきました。
9月6日に、アクロス福岡の円形劇場で、モーツアルトの「フィガロの結婚」を、レクチャーしながらコンサートをするという趣向の公演をやります。主催団体は、西日本オペラ協会、「コンセール・ピエール」。団体自体は老舗であり、私の師匠なども、良くお世話になっている団体です。私も、10年位前に、師匠の演出した「フィガロの結婚」を博多まで観にいったことがあります。

実家が近いこともあって、先輩などがかかわっていたりして、他の地方団体とは違って親近感があります。今回も、ピアニストの方に、同じ高校出身の方などいて、びっくり!元々は、声楽をやりたいと思って、その高校の音楽科に入った私。それが演出と言う形で、また福岡に戻ってくるのは変な感じです。土地の感覚もわかって、なんだか懐かしく二日間のお稽古させていただきました。

さて、「アマデウス・コード」と銘打ったこのコンサートは、秋に来日する、バーデン歌劇場の「フィガロの結婚」を観る前に、一度楽しく「フィガロ」をお勉強しませんか?と言う、主旨の元、アクロス福岡が西日本オペラ協会に依頼したものです。
当初、コンサート形式にするようでしたが、このオペラ協会に講師としてかかわってらっしゃる、藤原歌劇団団員の松山いくおさんが語りをやるということになり、だったらちゃんと、構成をしようということになったみたいで、私にお話をくださいました。

博多に行く前に、松山さんと二人で、どの曲をどういう風に使うかという、ご相談をし、イメージなども話しながら、構成をさせていただき、いざ、博多へ。
いや~、楽しいお稽古でした。

まず、参加してくださるキャストの方々の、受け入れ態勢が非常に良いです。
風通しが良い。私は、演出やトレーナーをするにおいて、良く、この「風通し」と言う言葉を使いますが、本当にそれによって、随分、稽古場が変わるのです。
どんなに、こちらが頑張っても、アイデアを持ってきても、やはり、受け手が心を開いてくださらないと、まず、新しい展開になりません。そこを開くのに、すごくエネルギーをかけてしまう。

しかし、この団体のキャストの皆さんは、まず、「とにかく、言われたことを受けます!」と言う、器が見える。不器用、器用はあっても、とにかく受けてくださる。それが素晴らしいと思います。それと、これは松山さんの功績も大きいのでしょうが、音楽というものを、非常に真摯に扱ってくださいます。

最初、構成を確認するために、ざっと頭から音楽と構成内容を流して行ったのですが、その時から、それぞれ歌われる方の音楽が、前向きです。空間を前に捉えてらっしゃる。ですから、空間の息が止まりません。個人個人では、その度合いが違いますが、全体の印象として、稽古場の空気が音楽から動くというのを感じました。素晴らしいことです!

そこから、派生していく稽古ですから、私のアイデアや、投げかけは、す~、す~っと彼らの方に受け取られていき、段取りはあっという間に渡されてしまいました。びっくり!!(^^)
後は、この渡されたものを、どう膨らませていくかと言うことのみですね。これは、次回のお稽古でやって行きます。

お稽古の後の飲み会でわかったのですが、お話をした歌い手さんが、ピアニストも含めて、非常に楽譜や音楽に興味を持ってらっしゃる。色んな疑問を持って、投げかけを返してくださいました。こう言うことにモチベーションが高いというのも、初めてです。きっと、彼らの中で、学ぶということのテンションが高いのでしょうね。そして、それが出来るためには、どうすればいいのかという、考え方をしてくれる。こう言う人たちとお稽古をするのは、楽しいです。少しのことで、ふっと変わってくれます。風通しがいいというのは、こう言うことを言うのですね。

もちろん、ここまで歌い手の方々が、学ぶ体制になってきたのには、私の師匠や、先の松山さんの努力があると思います。彼らの指導や稽古が、協会の方々に何が必要かを、きっと伝え続けているのだと確信があります。そのおかげで、私の稽古があるとすれば、本当につながりって大切だと改めて、認識します。

いずれにしても、足らないものに気づいて、それを埋めたいと願い、努力する。今回の参加者の方々には其れが見えました。ですから、次回はもっと膨らませてきてくださるのではないかと、期待しています。

それにしても、師匠が踏んだ轍を、恐れながら踏ませていただくのは、本当に恐縮しますが、嬉しいです。師匠の撒いた種を私がつぶさないように、松山さんが育てた芽を私が摘まないように、花を育てて生きたいと思っています。

松山さんがおっしゃっていましたが、地方の方々のこう言う学び方は本当に、素晴らしい。やはり、忙しい生活の中から、遠い場所から、様々の理由をもって、それでも勉強したいとレッスンを受けに来る時に、もし、自分に取って、つまらないと思えば、すぐに、話はなくなる。それだけ、目的意識と投資をすることの大切さをしっている、と。私もそう思います。

東京から人を呼ぶのは、大変なことです。報酬はともかく、交通費、宿泊費、様々なことが面倒くさいです。それでも、得たいものがあれば、やはり、そのお金を投資する。その価値観と言うものが、はっきりしているのですね。

東京に住んでいると、何でも、出来るような気がしますが、だからこそ、ヴィジョンやモチベーションが低くなっているのかも知れません。見習いたいものですね。
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by kuniko_maekawa | 2006-08-06 16:44 | オペラなお仕事 | Comments(0)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。


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