プロセス

一昨日、昨日と博多に行ってきました。
西日本オペラ協会というオペラ団体が9月6日に「アマデウス・コード」と題しまして、モーツアルトの「フィガロの結婚」をハイライトで上演します。何でも、11月にバーデン歌劇場と言うところが来福し、それのCMも兼ねて、公演に先駆けて「フィガロ」を少しご紹介しましょうと言うもの。レクチャーコンサートのような形式です。

この二日間のお稽古も、キャストの方々、裏方をなさっている方々が、大いに頑張ってくださり、大変、実りの多い、恵みのある時間になりました。神様に感謝!

さて、今回は、お稽古の日数が限られておりました。
最初が先日行きました、8月3日、4日。そして、今回の23日、24日。後は本番前、9月の4日に衣装合わせ、通し稽古をしましたら、5日に舞台稽古、6日に本番です。
ですから、私が彼らとお稽古できる回数は、稽古場で5回、ホールで一回。
レクチャーコンサートで抜粋とはいえ、1幕から4幕まで、ある程度の有名な場面は歌います。時間にして1時間40分くらい。衣装を着けて、本編と同じように、演技しますから、結構大掛かりになりました。それをこなすのには、ちょっと少ない稽古です。

しかし、キャストの皆さんが、非常に風通しが良かったことと、一生懸命自主稽古をしていただいた結果、昨日の最後の通しなど、良い仕上がりになっていました。本当に、皆さんの努力に頭が下がりました。

オペラの稽古は時間がかかります。
音楽稽古から始めていけば、一月以上。キャストや幕が多いものだと、もちろんそれ以上かかる場合も往々にしてあります。
しかし、だからと言って、毎日稽古していれば、それでいいかと言うものでもないのです。

今回、これだけの稽古回数が、逆に良かったと思っています。何故かと言いますと、私とお会いしない稽古の間、ご自分達で自主稽古を組み、そこで、練り上げて創るという作業をきちんとしていただけたからです。これが非常に大切なこと。

先に書いたように、オペラは時間がかかります。それに、演出家はどうしても絵を作らなければいけませんから、稽古の時間を取りたがりますし、歌い手の方も、「こなす」時間が欲しくて、やはり稽古をしたがるのですが、お互いが、そういう利害をもって稽古をしていますと、結局は言われたことを「こなす」稽古になって行きます。

もちろん、演出家、指揮者の要望を媒体としてこなせるのも、歌い手の要素としては必要です。しかし、この場合、稽古場が当て込むために使われることになってしまい、本来、作品を作ると言う段階には、中々いかないのが現状です。

私も、オペラを演出し始めたころは、稽古回数が欲しかったです。
やはり、自分の絵が欲しかったですから、歌い手と一緒に、コンセプトを創り上げる時間が欲しかった。
しかし、ずっとやり続けている「稽古場」や昨年やった第一回目の「レチターレ」の公演を通して、稽古場のあり方みたいなものが、ようやく理解できてからは、稽古回数を、なるべく減らしています。なぜか、稽古場は「試す」ところだと、認識しているからです。

例えば、「レチターレ」などは、一演目3回の音楽稽古、3回の立ち稽古で創っていきます。最初、これを見たときに、歌い手達は稽古回数が少ないとやはり感じるようです。彼らの感覚は、音楽稽古の時に、指揮者と一緒に仕上げていくと言う感覚があると思います。それで、自分達の力量を考えて、もう少し指揮者と稽古したいと思うわけですね。

しかし、私は音楽稽古であっても、「試す」のであれば、稽古場に来る前に、歌い手が音楽を作っておく必要があると思っています。それを稽古場で「試して」みて、指揮者がチェックする。その上で合議して音楽を創り、それを持ち帰って、膨らませてきて、それを「試す」。立ち稽古にも同じことが言えます。

上記のようなことが、理解できて、私と付き合ってくれている人たちとの稽古は、まさに「創る」稽古になります。皆が、材料に下ごしらえをしたものを、稽古場で調理する。それが理想であり、どういう作り方をするかというところに「プロセス」と言うものが生まれます。この「プロセス」が大切なのです。

西日本オペラ協会のコンセルピエールの方々とは、期せずして、こう言う稽古が出来ました。
私が来ない間の自主稽古で、前の稽古から、今回の稽古の間に、彼ら自身のプロセスを踏んだのです。それを「稽古場」で創っていって、また更に9月までの段階を踏んでもらう。そうやって、本番に一番良い状態でお客の前に立ちます。

今回は出来ると思います。皆さん、前回とは大いに違って、稽古場を作ってらっしゃいましたもん。理解できても、出来なくても、稽古場が成立している時は、空間が止まらないのです。本当に素晴らしかったです。

そうはいっても、次回は舞台稽古。その時私達のやることは、もう、お客様のことを考えるのみ。どこにどう立てばいいのか、どう歌いかければいいのか、細かいことはせずに、外側に自分達を出していくことをやって行きます。これだけ、頑張っているのですもの、絶対に成功します!皆さんも、応援しててくださいね!(^^)
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by kuniko_maekawa | 2006-08-25 13:44 | オペラなお仕事 | Comments(0)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。


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