アリアの情景

さてさて、レチターレの音楽稽古が続いています。

今回はアリアで構成していく舞台。
音楽稽古もいつものように指揮者をいれずに、私と歌い手さんとピアニストで作っていきます。

これはこれで結構ヘビー。

先の記事にも書きましたが、アリアと言うのはオペラの人物達の直接的な感情と言葉で作られています。

だからこそ、一本やる時は、演出も指揮も、ほとんど歌い手にお任せの部分です。

相手がいたり、合唱団を背に歌うようなアリアならば、少しは演出も出来るのですが、場面としても一人で、心象心理を歌うものであれば、まず、演出家は手を出しません。

本人が気持ちを伝えれば良いだけですから。
稽古もほとんどしないくらいです。

しかし、今回は、その部分を表に取り出そうとしていますから、歌う方も、こちらも楽譜との距離を離して、役柄を客観的に見ないと情景が見えてきません。

例えば、「フィガロの結婚」の伯爵のアリアを歌うとします。
有名なアリアですよね「Hai gia vinta la causa(もう訴訟に勝っただと)」

これは3幕のアリアで、スザンナが伯爵夫人に頼まれて、伯爵を庭に誘い出すと言う場面の後、逢引の約束をしたスザンナが、フィガロに向かって「この訴訟は勝ったわよ」と言うのを聞いていた伯爵が、自分の召使に勝手にさせないと歌うものです。

大抵このアリアを歌うときには、フィガロへの怒りを面に出して歌いますが、そもそも、何故彼が怒っているかと言うのは、案外曖昧なのです。

そのためには楽譜を読むしかないのですが、もう一つ、伯爵の生活感と言うものも、大いにものを言います。

つまり、彼は一般人ではなく、「伯爵」と言う、かなり高い地位の貴族であるために、日々、自分が手を煩わすことが少ない。

これは悩み事や問題に対してもそうで、例えば、召使が自分を馬鹿にすることなど考えられなしだろうし、それを自分自身で解決することもしないだろうと思います。

つまり、その召使を首にするとか、ひょっとして殺すことも出来る「権利」が彼にあるからであって、わざわざ考える必要が無いのですね。

そういったことを楽譜の中から捕らえて、客観的に役を作っていく。

その上での台詞として、リブレットや音楽を扱う。

文章にするのは簡単ですが、やってみるとなると、本当に大変。

テクニック的なことも含めて、この立場での心理状態を言葉で伝えるとなると、相当の芝居っけと度量がいります。

とても、中途半端に扱えない。
稽古が終わった後は、私も、歌い手も、ピアニストもぐったりです(^^;)

音楽的な部分も、本当に歌のラインに添ってきます。
あるいは、突き放す。

感情的な音の流れが多いのですね。

難しい・・・けれど、かなり面白いです。

たった一人で役としての心理をどう語っていくか、どう歌っていくか・・・。
歌い手達も力量を試されることとなりました。

今回は照明もそれを邪魔しない、けれど、絶対に必要な舞台セットとして置いてもらおうと思っています。

これね~、ほんっとに1800円じゃ安いですよ~(笑)。

何度でも書きます。
11月6日(火)角筈区民ホール18時開場、18時開演です。チケットお求め、お早めに!
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by kuniko_maekawa | 2007-10-06 00:20 | レチターレ | Comments(2)

Commented by 聖者ぼんちリンポチェ at 2007-10-06 23:34 x
伯爵って確かにある意味面白いキャラなんですよね。
とりあえずカーッときて、やっつけてやる!懲らしめてやる!
・・・と喚きたてるものの、
実際にあれをこうして、これをああして、と策略を立てることは
ほとんどせず、考えることは単純な職権濫用だけ。(笑)
フィガロなんかは、たとえ結果は失敗としても、
ちゃんと具体的な方法を考えるんですけどねえ。
Commented by kuntz at 2007-10-07 00:21
まあ、基本、麻呂なので・・・。(^^)