2008年 08月 30日 ( 1 )

根本を見つめる

私のところでは、オペラのリブレットを読むのと同時に、希望する方には戯曲を読むと言うこともやっています。

これは、日本語をちゃんと扱いたいことと、目で見る文字のイメージを言葉にするときに、どれくらい音として捉えられるかと言うことをやりたいからです。

先日のレッスンで、この戯曲を読んでいる時に、いわゆる長台詞が出てきました。

ページの半分くらいに渡って、一人のキャラクターが喋っている。

それを読んでいるクライアントさんの音を聴いていると、どんどん棒読みになってくる。

読み終わってから、「ふ~」っとため息(笑)。そりゃそうですよね。

しかし、本来役者さんならば、この長い台詞をこなさなきゃいけない。

役者ではないにしても、書かれているわけだから、何かを駆使して読むのがテーマです。

長台詞がうまく読めない理由は、まず、読み手が飽きてしまうことが一つ。

段々長くなってくるうちに、読むと言う作業に集中できなくなってくるんですね。

それから、文章の区切り方がわからなくなる。

これも集中度にかかってきますが、後の文章が予測できていないために、変なところで区切ってしまう。

これは、読み込めば解消されることですが、基本的に文章を読みなれていないと、短い台詞でも、起こる現象。

そして、もっとも大きな理由は、誰かに読み聞かせていると言う快感が少ないこと。

これは再三書いていることでもありますが、通常オペラの現場でも起こることで、研究生や学生などは、声を出すこと自体を「勉強」の一環として意識していることが多いですから、誰かを気持ちよくさせるとか、驚かせるとかの快感を感じられない。

そうすると、手としてそれをやると言うことが意識の中にありませんよね。

さて、読んでいたクライアントさんに私が聞いてみたことは、「最初に、歌をやり始めた時の理由は?」と言う事。

何故、歌が好きになったか。
何故、芝居をやり始めたか。

そうすると、まず今の大人の頭で考えますから、結構理由が沢山出てくるのですね。

「やっぱ好きってことだったと思いますけど、それをもっと勉強したくなった」とか、こうで、こうで、こうなった的な答え。

でも、これは「何故、歌を勉強しているか」と言う質問とすりかえられています。

私が聞きたいのは、「そもそも歌が好きになった理由」です。

歌をやり始めたのは、歌が好きだったから。じゃあ、その歌が好きになった理由は?

私自身のことを言えば、小学校2年生のとき、歌のテストと言うのがあって、何でもいいから歌っていいと言われ、母に習った賛美歌を歌って、クラスの皆が「前川さんは歌がうまい」と言ってくれたこと。

うちは、母が歌が好きなこともあって、良く賛美歌を歌い聞かせてくれたのですね。

それを姉と一緒に歌っていました。

でも、その時は曲が好きだった。

自分の声のことなんか気にしたことも無かった。

ところが、初めて人前で歌ったときに、みんながいい声だと褒めてくれた。

それで、歌がすきになりました。

後は、それに乗せられるままに音大まで行ってしまったと言う、恐ろしい単純思考の人間だったわけですが(^^;)

とにかく、動機は人を喜ばせたからだと思っています。

おそらく、人前で何かをしたいと思っている人たちの大部分は、この理由かなと思っています。

自分が他人に影響を与えた。

ところが、これが勉強となったとたんに、理由は内側になります。

自分の歌い方や、リブレットの読み方や、言葉の発し方。

それを人前で表現として使うことは二の次になってくる。

長台詞がうまく喋れないのも、そう言うことが大きな原因の一つとなります。

クライアントさんにこの事を話して、もう一度「影響」と言う事を考えながら読んでもらいました。

そうすると、全然違ってくる。

忘れちゃいけないことだと思います。

「何故、歌を、芝居をやり始めたのか。」

太い根が土の下で頑張っているから、幹が育って華が咲く。

「経験」や「勉強」は肥料なんですよね。

水はなんだろう・・・。
血と汗かしら????(笑)

育てて生きたいですね。(^^)
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by kuniko_maekawa | 2008-08-30 11:54 | トレーナーのつぶやき | Comments(0)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。


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