作品に捕らわれるの巻き

あああ、ほんっとに久しぶりに記事を書きます。
どうも、オペラのブログの方は最近お休みがち。別に怠けているわけではないのですが、こちらは日々の日記とは違い、本当に心が動かないと記事を書く気にならないので、スイッチが切れていると、ネタが浮かんでこないのです。

しかし、今日は一発活が入りました。よっしゃ!書くぞ!

前回の記事で書いた修了公演が終わってから、慌てて引越し作業をし、ばたばたと今の部屋に入りましたから、荷物を片付けてライフラインも繋がった今、すっかりとスイッチが切れてしまい、しばらくオペラとはかけ離れた生活をしています。

今日は久しぶりに、先輩演出家であるEさんのお宅へお呼ばれに。
実は、彼女の自宅に使っていないアップライトピアノがあり、それをいただけるとのこと。しかし、そのピアノは彼女が子供のころから持っているもので、弾けなかったら悪いから、実際に見に行って確かめる算段に。ピアノは問題なく、我が家に配送する手はずとなり、ついでにお食事もいただいてきました。

彼女とは当たり前のことですが、話すことといえば、舞台の話、オペラの話になります。
今日も食事をしながら色々と話をしていました。

最近はありがたいことに、私のことも演出家として認めてくださっているので、演出家としてのスタイルなども話題になります。

彼女と私は真逆で、考え方も性格も違い、そうなると、当然舞台の創り方も違います。
彼女と話していると、私の未知の知識や、彼女の造詣の深さなども刺激となり、尽きることがありません。話をしながら、自分と向き合うような形になることもしばしば。

そして、今日、彼女と話しながら、私の変化に気づいたのです。

10日に終わった修了公演で、私はものすごく作品を作ることに頑なになっていました。
頑固で嫌な人間になって、自分の創ったものを守っていましたが、終わってしばらくしてみると、何で、あんなに頑固になったのか、自分でも夢だったみたいに思え、自分の取った行動に疑問を持ってました。その答えがわかったのです。

あの時、あんなに頑なに頑張ったのは、ただ、ただ、作品を作りたかった。
それは、私の演出を客に見せたいのではなく、「秘密の結婚」と言う作品を客に見せたかった。

なんというか・・・・、作品を完璧に形にすることの魅力に完全に捕らわれていたのです。

わかるでしょうか? 文章にすると分かりにくいのですが、とにかく、3Dのように、作品を立体化させたかった。そうすることが私の表現であることに気づいたのです。

それを理解せず、我侭に壊そうとするものがあれば、憎しみさえ抱きました。ぶっころす!と本気で思いましたもん。今や、自分でも、なんでああも鬼みたいになっていたのか、理解できませんが、それくらい、作品を見せるということは、魅力があることなのです。

今も、その思いは消えず、そのために、しばらくオペラから離れたいくらいの気持ちです。

その魅力を知ってしまったらば、次回、またオペラを一本演出する時、同じように捕らわれてしまい、頑なになってしまいそうだから。そのために、邪魔する奴らを憎んでしまいそうだから。

だったら逆に好きな作品作りを楽しくやればいいじゃん、って言われそうですが、そんな甘いことでは作品は見えてこない。少なくとも、私のキャパシティでは必死にならないと無理です。

この恐怖と魅力は表裏一体。抗いがたい欲求を感じます。作品を形にしたい。

そのためには、私も含めたスタッフ、歌い手、指揮者、すべてがコマになって作品のために自分を捨てる必要があります。その上で個性をなくさない、良質な素材をそれぞれが持っていないと出来上がりません。

彼女と話しながら、それをひしひしと感じていました。
もちろん、彼女も究極だと言っていましたが、私にはインディー・ジョーンズの秘宝探しと同じくらいの中毒性があります。

とにかく、自分の中のオペラに対する役割がはっきりした今、どう作品と向き合うかをもう一度捉えなおすべきだと思っています。

この身を作品に捧げるためには、もっと知らなければいけないこと、出来なければいけないこと、測り知れないほどあります。

ここ何年間か、私は自分のために「稽古場」を起こし、朗読会をやり、可能性を探していました。得るものも多くありました。

しかし、これからはそれを自分のためではなく、お客の前に作品を出すためにのみ、使っていくことにします。

今年は充電期間。
私のやりたい作品作りが出来る環境を作っていくためです。オペラと私の関係も、新たな側面を見せ始めているようです。楽しみです。(^^)

いつか、皆様にお目にかけられるように頑張ります。これからがやっと始まりです!
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by kuniko_maekawa | 2007-03-30 01:00 | 演出家のつぶやき | Comments(0)

日本オペラ振興会オペラ歌手育成部第26期修了公演「秘密の結婚」

もう、日付は変わりましたが、本日3月10日、日本オペラ振興会育成部の修了公演が終わりました。

本当に、研究生達は頑張って、それぞれが充分力を出し切って「秘密の結婚」と言う、作品を仕上げてくれました。

お客様は喜んでくださったみたいで、カーテンコールまで本当に良く拍手をしてくださいました。

今回、私はあまり良い稽古場を創れなかったのですが、それでも、なんとか作品を表に出そうと四苦八苦し、それを見事に研究生達が形にしてくれました。感謝、感謝です。

しかし、今回思ったことは、本当に、素材になることって大切だということ。

これは、歌い手だけでなく、演出も、指揮も、ピアノも(オーケストラも)、やっぱり個々の素材として、作品の前にあるべきなんです。そう言うことを、改めて学んだ公演になりました。

例えば、照明を観ている時に、前日の舞台稽古と同じ位置に人が立っていて、そして、明かりも特に変わったわけではないのに、何か違って見える。

それは、その時の歌い手の精神的なことだったり、指揮者のテンポが少し違ったり、ピアニスト達のタッチが違ったり、私の目が慣れていたり、とにかく、何かが少し変わるだけで、作品の世界観が変わるのです。

これは、今までになかった経験で、と、言うより、私のレベルが上がっているということなんですが、それぞれが本当に総合されて、オペラの舞台が出来上がるのだとわかったのです。

不思議です。どこのセクションが飛び出しても駄目なんです。

今回4人ほど助演が入ってくれました。
彼らは研究生よりはもちろん、力量を持っており、歌唱も素晴らしいのですが、面白いことに、作品として成立しているのは、研究生だけでやった場面ばかりです。

これは、助演が悪いのではなく、なんというか・・・、レベルが一緒だからなんですね。研究生達のレベルが一緒で、集中力とか、ベクトルがあっているのです。

しかし、助演たちは、研究生達より出来ることが多いですから、つい、仕掛けが多くなるのですね。芝居もちょっとやりすぎる。そうすると、あっという間に、この世界観から飛び出してしまいます。

難しいですが、本当に良い歌い手のスタンスは、声や出来ることをアピールするのではなく、ただのコマとして作品の中にいられることなんです。

今回は、作品の世界観を主として創りましたから、残念ながら助演たちが、ちょこっとはみ出す部分もありました。もったいなかったですが、それはそれで面白く出来ていました。いつか、彼らがそれに気づいて、自分達の可能性をもっと拡げられると良いと思いますが・・・・。

良い声、良い資質、何より、作品を読み取る力。これが歌い手達には本当に必要です。
そして、同時に私にも。

ただの素材として、作品の形を作っていく。
今回はどこまでそれが出来たかがわかりませんが、少なくとも、「秘密の結婚」は見えたような気がします。ほっとしました。

研究生達は、これからが大変。
一歩を踏み出したその先は、一人で何もかもをやっていかないといけません。そのエールのためにも、この公演は良かったと思います。

会場に足を運んでくださった方、ありがとうございました。
何より、喜んでいただけたのが嬉しかったです。(^^)

私は、また次回、何かの舞台を創れる時が来たら、今回と同じ方法を取ります。それが、作品を作ることだと、わかったからです。それが分かっただけでも、実りの多い公演だったと思います。研究生のみんな、助演の皆さん、講師の先生方、とにかく、お疲れ様でした!そして、ありがとうございました!
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by kuniko_maekawa | 2007-03-11 02:19 | 観劇日誌 | Comments(0)

勝ったね~!(^0^)

まあね、誰も言ってくれないので、豪語しておこうと思います。

さて、頑張っていた修了公演もまもなく終わります。昨日は舞台稽古と言って、衣装をつけ、照明を入れて、実際の舞台で確認作業をする時間をとりました。

通常は場当たりと言って、位置決めや、稽古場で出来なかったことを、確かめる時間に使うのですが、そんなに大掛かりなことをやっているわけではないので、今回は、ざっと通し稽古をしました。

ここまで終わると、後は、細かいことではなく、どうやってお客に見えるかと言うことを創っていきます。

しかし、今回は、この作業がすごくうまく行っています。

まず、舞台セットが思ったよりも、ちゃんとしたものが出てきました。

修了公演は基本的に、下の学年が裏方を手伝います。
私達のクラスはパネルを使って、壁を作るのですが、このパネルを一生懸命作って、色を塗ってくれました。これが、本当に素晴らしいのです。

そして、照明。
今回は、以前「魔笛」を一緒にやっていただいた、稲葉直人君がプランナーで入ってくれています。お互いに手の内が読める相手ではありますが、それでも、彼の出す明かりはいつも、私の意をついて、面白いです。

今回、彼と作ったコンセプトが、このパネルのことも含め、うまく行きました。
思った以上です。

そうやって、出来上がった舞台の絵の中で、実際に舞台稽古をしてみたらば、これが面白いです~。ほんっとに!

内容ではなく、まず、舞台セットと言うものが、一つの絵のように出来上がり、しかし、強くはない。その絵の中で、歌い手達だけが生きている。そんな感じです。

私は、これを見越して、ずっと稽古をしていました。
ですから、必要以上に楽譜の中身にこだわり、姿形にこだわり、創っていました。

今回は色々と問題もあり、心身ともに、ちょっとぼろぼろ系ではありますが、昨日の舞台稽古が終わった時点で、私のやり方が正しかったとわかりました。

決してうぬぼれているわけではありません。

自分で客観的に舞台を見た上で、「出来てる」と思ったのです。「勝ってる」って。

この、私のやり方は、本当に歌い手達が作品を知らなければ、ただ、浮いているだけに終わります。ある意味、誰しもが素材としての力量を要求されているのです。

しかし、それに気づかないと、この絵の中からはみ出して行き、その歌い手達が、慌てて感情的に創っても、やはり創れません。楽譜を読み取り、演出家のプランを読み取らないと、中に入れないのです。

これがわかった瞬間、私は「勝った!」って思いました(笑)。

まあ、別に、誰に挑んでいたわけではないのですが、勝ったのです。むしろ、入れない歌い手たちと言うのが、あがけばあがくほど、その人が浮いてくるという、あり地獄のような作品作りを生み出しました。わはははは・・・・(^^;)

でも、これが私の素材であり、本当の演出の仕方かもしれません。

今回は歌い手と言う人種のことも、またもや認識が変わりました。いずれにしても、素材で話をする。いみじくも、私の友人がそういっていましたが、その話が出来る素材は本物でないといけません。

私自身のレベルもあがりました。確実に上がっています。本当に苦しかったけれど、結局は神さまからの恵みをいただきました。

公演にいらっしゃるかた、秘かな楽しみを見つけてください。
残念ながら、私の「勝利」は、私にしかわからないものなんですが(笑)。
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by kuniko_maekawa | 2007-03-07 15:28 | 演出家のつぶやき | Comments(0)