舞台の高さ

最近めっきり演出家な頭になっている私。

トレーナーをやめたわけではありませんが、こういう職業は面白いもので、一つ仕事が進み始めると、その流れがしばらく続くのが常です。

例えば、トレーナーばっかりやっている時は、自分の意識もそこにありますから、なんとなく人のつながりでクライアントさんがやってくる。

演出家の時も同じで、このところずっと演出家稼業をやっていましたから、周りの捕らえ方も、仕事の流れもそうなってくる。

私は非常に単純なので、簡単にその流れに流されると言う・・・(^^;)

さて、今は演出家として仕事をするのに、自分の知らない部分を知ろうと必死でありますが、演出をするにあたり、まず最初にすることは本番で使用するホールを知ること。

内容的なことはもちろんなのですが、やはり演出家の仕事は外側を作ること。

その大元になる舞台を観なければ、各プランナーとも話が出来ません。

そこで、俄然興味が出るのが舞台面と客席の関係。

例えば、客席数や形。
横広なのか、奥行きがあるのか、舞台の前から1番目の客席までどれくらいの距離があるのか。

また、舞台に関しても、舞台面がどれくらいの広さなのか、高さは、壁は、空間としてのホールはどういう色合いなのか・・・・。

最近はコンサートホールでもオペラの舞台を組んだりしますから、色んな要素で随分と形が変わってきますし、制約も出てきます。

私が元来好きな舞台は、客席500~700くらいの中ホール。

そうですね、池袋の芸術劇場の中ホールや、新国立劇場の中ホールくらい。

一番観やすい空間だと思います。

仕様によっては200~300席の小ホールも好きですが、オペラに関してはやはり音楽に空間が負けるときもありますので、オケを使うならば1000人以上の劇場ですか・・・。

いずれもそれぞれに仕様価値があります。

そして、もっとも重要なのは、舞台面より、客席が高いということと、客席と舞台が程よい距離感をもっていること。

中々そういうホールを見つけるのは日本では難しいのですが、渋谷bunkamuraのコクーンや新大久保にあるグローブ座などはもっとも好きな空間。

私が普段レチターレで使っている角筈区民センターなども小さいながら、舞台面と客席の感じが好きです。ただ、客席が横広なので、いまひとつ奥行きが無く、そこが惜しいところ。

先日の「ドン・ジョヴァンニ」で使用したアミュー立川の小ホールは可動式の舞台で、舞台面と客席面が6分割されています。

「迫り(せり)」と言うのですが、これを使って、舞台の三面の高さを変えて作りました。

普段の高さだと、客席から1メートルくらいの高さ。
そうなると、一番前の席のお客様の目の高さくらいに舞台の前面があります。

舞台と客席は近いですから、お客様は常に歌い手の足元を観ていることになる。

それではつまらないし、今回は床面を使う気でしたから、効果なし。

ってことで、正面の迫りを舞台面より30センチ。
上手と下手(向かって右、左)の面を客席より60センチの高さにして、出来上がったのがこんな感じ
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床面に照明のサスが落ちているのが見えますよね。

この写真は丁度下手側の客席から撮りましたから、目線としてこんな感じに見えるのです。

これより後ろのお客様には、もっと舞台面がちゃんと見えています。

この感じが一番好きです。
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今回は客席を外して、客席の下手側にピアノと指揮者と言う変則的な形にしましたが、このホールの客席は横広。
奥行きはほとんどありません。これは結構辛い状態。

舞台上の奥行きもありませんから、客席からの出入りも使って、劇場空間としての導線を作りました。そうしないと窮屈で・・・・。

昨日、みなとみらいホールで今週末にある「秘密の結婚」と言うオペラのGPを観させて頂きましたが、こちらはコンサートホール。

コンサートホールは元来、コンサートをする目的のためにありますから、ただの舞台とは違って・・・・・

1:反響板がそのまま壁になっていて、通常のホールのように取り外したり出来ない

2:サントリーホールみたいに、舞台面の方にも客席があること、プロセミアムの形(額縁です)ではなく、あくまで音響のために、天井がどこまでも高い

3:よって照明機材がむき出しなこと

4:緞帳、袖幕などがまったく無いこと

等々、もっと色々あるんですが芝居をうつ舞台とは全然違って仕様に制約があります。

しかし、それを逆手にとって面白い空間を創ることももちろんできる。

ただし、これは観る方にもそれを理解していてもらうと言うお約束付きですね。

この公演はミヒャエル・ハンペ氏という世界の巨匠が演出。

本当に細かく、丁寧に創ってらっしゃいました。

実は、この「秘密の結婚」はDVDで出ているものとほとんど同じ。

ってことは、彼の演出レパートリーになっており、完成形だということ。
その演出が歌い手が変わり、国が変わり、スタッフが変わっても、まったく遜色無く現れているこの舞台に、職業演出家としての彼のすごさを感じて感動。

大好きな演出家です。
御本人も品性を感じさせる素敵なおじいさまでしたよん♪

さて、演出家前川の次回公演は「オルフェオとエウリディーチェ」です。

これは絨毯座と言うプロダクションの小Labo(小さいプログラムですね)「オペラ縦横無尽」と言う企画の一環。

門仲スタジオと言うスタジオを使って、舞台は組まずに歌い手三人で、ただ音を表現することをやります。
題して「音演出」。

これから構成を考えて来月から本読み開始。

これがうまく行ったらば、舞台に乗せようと思っています。

今度は音の空間を作るつもりで。

私の中の舞台はいつでも、空間。
空気の中にどうやって生きるかが重要なのです。
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by kuniko_maekawa | 2008-05-29 14:35 | 演出家のつぶやき | Comments(0)

オペラ試演会モーツアルト作曲「ドン・ジョヴァンニ」

お待たせしましたっ!
「ドン・ジョヴァンニ」の御報告ですっ!

去る5月24日(土)
アミュー立川小ホールにて、オペラ試演会と題し、モーツアルト作曲オペラ「ドン・ジョヴァンニ」を公演いたしました。

この公演は、エルヴィラを歌った関口晶子さんと言うソプラノが企画したもので、なんと3年越しに叶えた公演です。

彼女は藤原歌劇団の準団員。

藤原歌劇団の研究生を修了し、その後学校の先生などをしながら地道に歌を勉強していたのですが、ある日、私のところに来てエルヴィラを歌いたいので、「DG」を勉強したいと言い出しました。

色々話をしながら、自分だけだと勉強も一役になってしまうので、どうせなら歌い手を集めて試演会までこぎつけたいと頑張り始めました。

しかし、学生と違ってそれぞれが仕事や本番を抱えており、何回か進みだした勉強会も、ちょっとやってはとまり、ちょっとやってはとまり・・・。あっという間に2年経ってしまいました。

これではいかんと、昨年の春に心機一転、ちゃんと公演を目標に勉強する、と言うことを決め、改めて歌い手探しをし、丁度彼女と同じくらいの人たちが揃えられ、事が進みだしたのが5月くらい。

それから1年は私と一緒に、リブレットを読んで行き、seccoを作りながら、本格的に始動するまでを暖めてきました。

3月からは指揮者を交え、音楽稽古。
そして、4月20日より立ち稽古開始。一月の稽古期間を終え、無事に本番となりました。

「ドン・ジョヴァンニ」は荒唐無稽な話と、綿密な音楽性が素晴らしい世界を作っており、楽曲としても難しく、大きな作品です。

稀代のプレイボーイ、ドン・ジョヴァンニがある屋敷に夜這いをかけます。
目当ては騎士長(警部補みたいなものですね)の娘、ドンナ・アンナ。
首尾よく屋敷に忍び込み、あわや事を起こそうと思ったときにアンナに騒がれ逃げ出します。
そこへ騎士長が娘を助けに現れますが、勢い、ジョヴァンニは騎士長を殺してしまいます。
アンナは婚約者のオッターヴィオと共に復讐することを誓い二人で人殺しの行方を捜しに家を出ます。
ところ変わって、新しい女を捜しているジョヴァンニと従者のレポレッロ。
そこへ3ヶ月前にブルゴスに捨ててきた女。ドンナ・エルヴィラが現れ、攻め立てられますが、レポレッロを出しに遁走。レポレッロは自分が書いた女遊びのカタログを見せて、エルヴィラを追い出します。
次は農民たちの結婚式。その花嫁ゼルリーナに目をつけたジョヴァンニ。まんまとマゼットを追い出してゼルリーナを口説きますが・・・・

と言う風に、ドン・ジョヴァンニと言う一人の人間と彼に影響を受ける女や男たち、最後には騎士長の亡霊に地獄に連れて行かれるという奇妙奇天烈なお話。

この作品は、確かフィガロの次に出来た作品で、台本はお馴染みダ・ポンテ。

きっとこの時代には本当にセンセーショナルだったでしょうし、お客は楽しんだでしょうね。
色気も恐怖も意地汚さも、人間の欲が全部凝縮されているような感じ。

なのに、音楽は本当に綺麗です。夢心地になるくらい。

「ドン・ジョヴァンニ」は私にとっては「心のオペラ」といっても過言ではなく、何度でもやりたい作品です。出来れば死ぬまでに完璧に創ってみたい。後何回できるだろうと、数えるくらいです。

それを期せずして演出できる機会がやってきたっ!ってことで、今回は参加してくれた歌い手たちにお願いして、舞台を創ることをやらせてもらいました。

以前も記事に書きましたが、3月に鹿児島でやった公演で手作りの大切さを実感して、一回自分で色んなものを作ってみたくなりました。

今回、作品が好きなことと、その手作りを是非やってみたかったので、まず照明を入れさせていただき、それから衣装、セットと出来る範囲で自分で作りました。

その結果、出来上がったのがこんな舞台。
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今回もまた照明をお願いしたのは、いつも私と一緒に舞台を創ってくださるASGの稲葉直人さん。相変わらずの丁寧な仕事ぶりで、本当に綺麗な舞台を創ってくださいました。

実は、今回の手作りには明かり作りも含まれて居ました。

このところ演出家仕事が多かった私は、プランナーとの関わり方も感じることが多くて、実際に彼らとどう仕事を進めていけば、良いのか色々と試してみたいと思い始めていました。

そこで、稲葉さんにお願いして、いつもより打ち合わせの時間を長く取っていただき、色々と話し合いながら創らせていただきました。

一番やりたかったことは、楽譜の中身を話すことでした。

通常は稽古を見ていただいて、その後具体的な話をし、実際に明かりを出してみると言うのが打ち合わせの形ですが、それだと決まっていることを話すだけなので、いつも時間で区切られ、感性の勝負って感じになります。

その形でも、稲葉さんのように、何度も御一緒していればもちろんちゃんと創ってもらえるのですが、もっとお互いの共通語を持ってみたくて、楽譜を台本にすると言う作業をやってみたかったのですね。

彼は非常に根気良く付き合ってくださって、退屈だったろうと思うのですが、とりあえず全幕、私が楽譜から何を作っているのか聴いてくださいました。

その上で稽古を見ていたき、明かりの方向性を決めていきました。
そして、実際に出来上がったのが上の写真のような世界。

舞台セットは平台を屏風のように立てて、布をかぶせ、ツタを張り巡らせただけのものですが、見事な世界にしてくださいました。本当に感謝!

彼の特筆すべきところは、場面場面の変化がすごく自然で綺麗なところ。

たったこれだけのセット、これだけの衣装でありながら、曲と場面とものすごく合ってる瞬間があって、音楽と明かりで空間がふっと浮き上がってくるような世界が出来上がったりしています。

観てくださったお客様が「夢に見た」と言って下さった舞台は、彼が創ってくれました。

今回は、私以外はほとんど同じ年代の人たち。

指揮者の粂原祐介君は、28歳と言う若さながら、非常に冷静に丁寧に音楽を創り、同年代の歌い手たちをまとめていました。

演出家が自分よりはるかに年齢も経験も上と言うプレッシャーの中、自分の音楽をしっかりと持って、作っていく作業の仕方は将来を感じさせる人です。これから楽しみな音楽家。

ピアノを弾いてくれた吉田貴至君も若きピアニストで、現在ニ期会や横浜シティオペラなどでピアニストとして頑張っています。
男性のピアノは力強くて好きですが、加えて繊細なタッチが綺麗です。オーケストラとしても十分にかなうアレンジもしてあり、一人で頑張って音楽を支えてくれました。

歌い手たちも若いですが総じて歌唱力のある人たち。

ジョヴァンニの岡昭宏君は新国立劇場の研修生。
非常に良い声の持ち主で、特に語感が良く、語り聴かせの出来る歌い手さんだと思います。
まだ身体能力としては、磨かれてない部分が多いのですが、いずれ歌唱表現の方法を自分で見つけるでしょうから、そうなると素晴らしい歌い手になっていくでしょう。楽しみなバリトン。

レポレッロの上田誠司君。
武蔵野音大の院を出て今は藤原歌劇団の準団員です。
彼は非常に良い感性と声を持っています。彼の特筆すべき点は品性を持っているということ。
これは本当に貴重なことで、彼が舞台に立っていると、洋的な居方が出来る。
しかも、それに臆すること無い風通しのよさも持っています。これからどんどん魅力的な歌い手になると思います。そうなって欲しいです。

オッターヴィオの榛葉樹人君
バリトンからテノールに転化したばかりで、勉強中であるのに良くこの役をこなしていました。
綺麗な声を持っていて、息の流れが自然です。
今は変わったばかりでどうしてもテノールの響きを意識しすぎるところがありますが、それでも十分聞かせられる音楽を持っています。このまま力まずに自然に伸ばしていって欲しいと思います。

マゼット・騎士長をやった周藤諭君
今回最年少のバリトンでしたが、頑張って二役をこなしました。
彼はまっすぐな響きで息が長く歌うことが出来ます。
ですから、騎士長のファイナーレのときなど、本当に良く歌っていました。どの言葉も、どの音も響きが変わらず、怖いくらいに正しい言葉で歌われると、騎士長ってこんなにも怖いんだと再認識したくらい。
経験としては上三役の男性たちにはまだ足りませんが、これからいくらでも変わっていく可能性があると思います。

ドンナ・エルヴィラの関口晶子さん。
今回の言いだしっぺ。
制作をやりながら歌うこともやらなくちゃいけなくて、本当に一生懸命頑張りました。
元々、響きの良い声を持っています。
研究生を修了したときよりも、数段良くなっているのに、いつも、ちょっと自分でネガティブに入り込むのが玉にキズ(笑)。
しかし、豊かな響きの声は聴いているこちらを心地よくさせます。もっと自分を信じてこれからも頑張って欲しいです。

ドンナ・アンナの木下侑(ゆき)さん。
関口さんの同門と言う事で、今回参加なさって初めてお会いしましたが、今回は一番伸びた人かもしれません。
声は深い響きで、息が長く、音域も広い。まだ未完成ではありますが、良い勉強をしていると思うので、これからレパートリーが増えていく人だと思います。
一本を通して役を作るというのが今回が初めてと言うことで、かなりのプレッシャーだったと思いますが、こつこつと問題をクリアにしていき、結局は役として歌うことが出来ました。素晴らしかったです。

ゼルリーナの渡辺文子さん。
私のトレーナーのクライアントさん。何度も御一緒してますが、天然の明るさと歌唱能力の高さゆえに、段々と舞台を踏み始めています。
レチターレも二回参加してくれていて、その度にネガティブスポットに入っては頑張って這い上がってくる努力の人。
真面目なんだと思いますが、もっと稽古場で心と身体を開くことが出来るようになれば、変わってくると思うのですが。良い響きの声を持っています。歌うことはもう出来ています。
後は、役として舞台に居られるようになって欲しいです。

彼らが本当に力量以上に頑張って、今回の舞台を作らせてくれました。
私の経験のために作り出したさまざまのものを黙って受け取って、必死でこなしてくれて、表現してくれた。心から感謝しています。

願っていたように、今回の舞台で予想以上のものを得ることが出来ました。

出来た舞台は、誰に見せても恥ずかしくない舞台で、クオリティも高かったと思います。

でも、私自身はきっともっと出来たかもしれないってどこかで思っています。

助けてもらったことも多かったし、自分で手を離してしまったことも多かった。

最初に予想していたよりも、はるかに大変だったけど、だからこそ、対処できたこともあったはず。

この自責の念を持つことが、実は求めていることかもしれません。

創ってみては「出来ないじゃん」って思うこと。

今回得たものは次に作る舞台でわかること。
その時を待つばかりです。

最後に大雨の中、会場に足を運んでくださった方々、本当にありがとうございました!
沢山の人たちに感謝の想いをこめて。
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by kuniko_maekawa | 2008-05-27 01:34 | 観劇日誌 | Comments(0)

本場間近

さて、今週の土曜日、アミュー立川小ホールにて「ドン・ジョヴァンニ」を演出します。
詳しい情報は新着情報や、この記事の前の記事にアップしていますので、是非ごらんください。

昨日まで細かい稽古をしまして、後は21,22日と通し稽古をやったらば、23日から小屋入り。

今回は私の経験も含めて、ちゃんと一本の舞台を創ると言うことをやっています。

若い歌い手たちは、四苦八苦しながら、なんとか中身をあげ始めました。

遅いと思うなかれ、やはり経験と力量と作品の大きさが比例することは難しいのです。

彼らは彼らなりに本当に良く創っており、後10年もすれば、それぞれが今やっている役を更にこなして、素晴らしいクオリティで客に出せる歌い手になるでしょう。

そこまでのプロセスとして、今回の公演がある。

それくらい若い実力を持っている人たちです。

こういった中身を創ること以外に、今回の私は外側も手作りしてみようと頑張っています。

元より予算がないですから、舞台美術家や衣装家、演出部など望めるわけもなく、それでも外側を作るのは、私の経験値を上げるためです。

以前、記事にもしましたが、私は今までちゃんと自分でデザインして物を創ったことがない。

舞監助手として仕事はしましたが、数はこなさないまま演出助手になりました。

なので、今だ知らないことも多い。

今、改めて演出家として歩みだそうとしているときに、ちゃんと手作りをしておきたい。

それが今回、外側を作ろうと投資している理由です。

とはいえ、物理的に手がないとか、予算がないとかはありますから、出来る範囲で舞台セットや衣装は考え、後はそれに加える小道具的な制作を頑張っています。

照明だけは自分で出来ませんから、照明家にお願いしましたが、今回は打ち合わせの時間を沢山取ってもらい、楽譜の内容から話して、方向性を決めていきました。

本当にこんな贅沢な時間はありません。

自分で作る舞台も、じっくりとプランナーと向き合う時間も。

今回のこの舞台を創らせてくれた歌い手たち、時間を沢山くれた照明家さん、感謝しています。

さて、後5日。
残された私の責任をちゃんと果たすべく頑張ります!

これは今作っている仮面。
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なんだかすごいことになってますが、これを見るだけでも価値ありますよ(笑)。

是非、開場に足をお運びくださいね。

5月24日(土)17:00開場 17:30開演
アミュー立川小ホール  チケット1800円全自由席

会場にてお待ちしております!(^0^)
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by kuniko_maekawa | 2008-05-19 11:50 | 演出家のつぶやき | Comments(0)

公演のお知らせ

5月24日(土)アミュー立川小ホールにてモーツアルト作曲「ドン・ジョヴァンニ」を公演します。
宣伝のためにしばらくトップにおいておきますね。新しい記事はもう一つ下に書いています(^^)
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ちゃんとお知らせしようかと思ったらば、団体名が無いさ。まったく(^^;)
ってことで、単なる試演会と言う名前の公演ですが、参加者たちは1年ほど前からこの公演を目的に、私のところで勉強していた人たちです。

カットをいれますが、基本的に通して作りますから、私も一本演出するのは久しぶり。
レチターレと同じく、参加者たちに一番良いように舞台を創ろうと思っていますが、今回は、彼らにお願いして、ちょっと手を加えさせてもらいました。

普段、こういう試演会的公演には、私の演出家的見地はほとんど加味しません。
勉強したくてお金を出す参加者たちを主に考え、彼らの枠を広げすぎないように、基本的に受身の仕事をモットーにしています。

しかし、最近演出家としても色々と試してみたいこともあり、しかも「ドン・ジョヴァンニ」は私の心のオペラとも言える作品で、何度でも演出して発見したいもの。

ただではすまないシーンも多々あり(墓場とか、地獄落ちとかね)、今回は思い切って、照明さんを入れさせていただきました。

もちろん、その分は私の料簡なので費用は私持ち。
たいした金額は出せませんが、これは勉強代と割り切って、参加者たちのOKを取りました。

それに加えて、舞台セット、衣装と「手作り」をやってみようと思っています。

先月の鹿児島は、良い条件をもらってスタッフワークもやれました。

今回は2月のフィガロと同じく、色んな箇所を文字通り手作りし、経験に変えようと思います。

照明はいつもお願いしているASGの稲葉直人君。
毎度のことながら丁寧に付き合ってくださる、ありがたいプランナーさん(^^)

まだ立ち稽古には入りませんが、これから私のほうは準備に入ります。

全席自由で1800円。
チケットご入用の方は非公開コメント残してください。ご連絡します!

いつもの事ながら、私も含め、育ててくださることを期待します。
どうぞ、会場に足をお運びくださいね。

稽古が始まりましたらば、随時、記事にアップしていきます!
皆様のご来場を心よりお待ちしていま~す!(^0^)
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by kuniko_maekawa | 2008-05-19 11:32 | オペラなお仕事 | Comments(4)

シアターコクーン「わが魂は輝く水なり」

GW最後のお休みはお芝居へ。

蜷川幸雄演出の「わが魂は輝く水なり」と言う時代劇です。

副題に「源平北越流誌」と付いているように、物語は平安末期の源平合戦の時代。

平家の武将、斉藤実盛は老齢の身で合戦の中で生きている。
敵は木曽義仲。
実盛はかつて義仲が幼少の時その命を救い、木曽山中の中原一族に預けたいきさつがある。
しかも実盛の息子、五郎は同世代の義仲、巴、中原兄弟と親交を厚くし、京に向かって兵を挙げた彼らの軍に身を投じていた。だが五郎は不慮の死を遂げ、今は亡霊の身となって実盛の傍に居る。
森の国に生まれ育った義仲軍の勢いは激しく、昔、彼らの輝きに触れたことのある実盛は、そのまぶしさを知っている。ついには、もう一人の息子六郎までも義仲のもとへ走ってしまった。
しかし、六郎がみた義仲軍の実態はあまりにも無残だった。
義仲は心を煩わせ、巴が代わりの大将として立ち、そして再び実盛も戦場へ・・・。

実盛に野村萬斎、亡霊の身となった息子五郎に尾上菊之介。
この二人の共演も気になったのと、蜷川さんの舞台を生で観るのは歌舞伎座の「十二夜」以来。

しかし、結構チケットがお高く、ここまでに3本ほど芝居のチケットを買っていたので、さすがに悩んでいたのですが、ふと、チラシをみたらば、照明プランナーが以前二回ほど一緒にお仕事した方。オペラでは何度も観てますが、お芝居の明かりを観たことなかったので、え~いとばかり。

これが当たりました~!

本当に面白かった。

まず、本が最高に好きでした。

脚本は清水邦夫。

確か木冬社(この漢字だったと思いますが)と言う劇団の作家で、昔良く観にいってました。

その時もかなり好きだったのですが、久しぶりに名前を観て、しかも、それを蜷川さんの演出で観れる。

かなり期待大でしたが、まさに、期待通り。

この方の作品は、独特のロマンティシズムみたいな言葉や物語の進み方があって、どんなに暗い話でも切ない話でも、夢物語を観ているような感じになります。

今回もやっぱりそういう感じで、久しぶりに感動。本当に好きでした。

蜷川さんの舞台は、いつも大河ドラマを観ているような壮大さがありますが、今回は半分夢か現かと言う世界観。

舞台セットは大きなふすまのような中割があって、それが紗ばりで透けています。
開くと満開の桜の木が一本立っていたり、岸壁だったり、と、しまっている間に場面が変わります。

一枚一枚の絵のようです。

清水さんの言葉が紡ぐ、夢の世界をしっかりと骨組みした感じ。

脇役の役者さんたちも本当に良く喋っています。

こういう芝居を観ていると、TVドラマであっても、舞台であっても、やっぱり必要なのは言葉の音。それが耳にどう響くかと言うことだけみたいに感じます。

本と役者がよければ、目を瞑っていてもドラマが想像できる。

それに良い舞台セット、衣装、照明を創って添えるのが演出家の仕事だと、蜷川さんの舞台を観ていると本当にそう思います。

これはまったく想像ですが、彼は本当は何もしない人なんじゃないかな・・・。

稽古場で灰皿を投げるとか、いろんな伝説はありますが、それは鼓舞させているだけで、役者の良い部分が出てくれば、あるいはうまい役者であれば、その役者がその気になることだけを手伝って、後は任せてるんじゃないかと思うんです。

それは歌舞伎座の「十二夜」を観た時に思ったんですが、元々歌舞伎役者さんたちには芸があります。役者自身が「芸」。

だから、それに任せて彼は確か10日くらいで「十二夜」を仕上げたと聴きました。

その時の舞台も恐ろしく綺麗だった。
その中で、尾上菊五郎初め、それぞれの芸が最高に光ってました。

って言うか、光るように舞台をそろえたって言うか・・・。

私が蜷川さんを追いかけるのは、その「何もしない」って言う舞台に感動したいから。

それが本当の演出家の仕事だと思っているからです。

萬斎さんと菊之介さんは、やっぱりうまい。
文句なしですね。
特に立ち居振る舞いや型となってくると、古典芸能の方たちには勝てませんよ。
とにかく美しい。

しかも、二人とも台詞は当然のことながら、間の取り方が絶妙。

激しく台詞を言い合った後で、一瞬ある「間」に引き込まれます。

歌舞伎も狂言も「声」が商売。

どうやって客をつかむ言葉を喋るかはもちろん、その言葉に影響を持たせるために、「間」が必要だって、身体でわかってる。

わかってて、何度も引き込まれる。
しかも、それがまったく自然に行われているのだから、もう、芸ですね~・・・。

この舞台を観るきっかけになった照明プランナーはASGの大島祐夫君。

最近はあまりご一緒してなかったのですが、二度ほど私の舞台を創ってもらいました。

初めて芝居で明かりを観させていただいて、しかも蜷川さんの舞台だったから、なんとなく嬉しくて・・・・。

でも、綺麗な明かりでした。

元々はっきりとした線や色を出す方でしたが、今回は極力色を押さえて、甘くなりそうな芝居に芯を作っていたと思います。

実は舞台セットは色目も含めてあんまり好きではなかったのですが、明かりにかなり助けられていたと思います。

シアターコクーンに入ったのは今日が初めて。
芝居にはちょうど良い広さと空間。

特に舞台の高さが好きな空間でした。

私はギャラリー席といって、舞台に対して横の面に座っていました。
まっすぐに見ると客席が全部見えます。

カーテンコールをやっている時、最初は舞台の役者さんたちに感動して拍手を送っていたのですが、ふと目の前を見たときに、その拍手をしているお客さまの姿が目に入りました。

絶対にこの客席を忘れないと思いました。

お客様一人一人が、本当に一生懸命手をたたいていました。
みんなの目が舞台の役者に釘付けで、沢山の手のひらが花びらみたいにひらひらしてました。
そのひらひらにあわせて、雨がトタン屋根を叩く様な音が小屋中に響いていました。

絶対にこの客席を忘れません。

自分の創った舞台の客席も、同じような雨音で一杯にしたい。
こんな風に舞台に一生懸命拍手をしてくださるお客様で客席を一杯にしたい。

ずっと客席を観ていました。

それも含めて、本当に良い芝居でありました。

こういう芝居を作りたいです。
今はこれが一番の夢です。
叶えます。絶対にね(^^)
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by kuniko_maekawa | 2008-05-07 02:04 | 観劇日誌 | Comments(0)