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言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

東京オペラ実験劇場第一回オープニング公演「椿姫」

本日は、招待状をいただきまして、表題の公演に行ってきました。最初に、ご案内を受けたときは、内容を良くわからずに、二つ返事をしましたので、チラシとチケットが送られてきて、う~ん・・・。つまり、この団体の名前です。「東京オペラ実験劇場」。正直、うんざりしました。
私は、「実験」と名の着くことが、あまり好きではありません。ことに、オペラに関しては。もちろん、「実験劇場」など、その名前のとおり、面白い、実験的な作品を世に送り出している団体もあります。しかし、往々にして「実験的」という名前が付いている団体や、作品で、うなるほど面白い作品に出会ったことは、あまりありません。まあ、私の観ている範囲ですから、あまり多くないかもしれませんが。しかし、この「実験的」と言う言い方は、非常に便利な看板です。つまり、面白くても、面白くなくても、これが「実験」ですから、「試しているんですから」と、言い訳に出来るのです。あほか!実験は、試験を実施することですよ。客に試験官を強要しているわけです。そして、そのジャッジをしてもらう。これに曖昧な意味合いなどありません。実験が失敗すれば、その製品は使い物にならないのです。
さて、とりあえず観にいってみたところ、やはり「実験劇場」は態のよい看板でした。「椿姫」は有名な作品ですから、あらすじはちょっと飛ばさせてもらって、演出は取り合えずオーソドックスな衣装とセットで行われていました。しかし、「オーソドックス」のどこが、「実験的」なのでしょう?団体の主旨を読みますと、「既存の舞台とは異なり、芝居(エンターティメント)に特化したオペラ公演を提案します。各作品が持つ生の息吹きをダイレクトにお客様にお伝えする団体として、精進してまいります」これは、賛助会員を求める記事ですが、呆れます。なぜ、オペラで芝居に特化しなければいけないんでしょうか?オペラはオペラです。元々歌うことで十分芝居もエンターティメントもなされているものを、芝居に特化すること事態馬鹿げています。歌は芝居と違うと思っている証拠ですから。それは、演出家、あるいは主催者が楽譜を読めてないだけです。事実、そう言う演出でした。結局は音楽の核を崩すことは出来ずに、舞台はただの「椿姫」です。ただ、この演出家はヴィジュアルのセンスは良いみたいなので、舞台は綺麗でした。しかし公演は赤羽会館講堂というところで、ただの公民館のようなところでした。ですから、音響はよくありませんし、せっかく綺麗に飾っていても、舞台の空間が狭く、飾りだけが浮いていて、現実を忘れさせてくれません。ここまで飾るなら、せめて、ちゃんとホールと呼べるところでお客を迎えるべきではないでしょうか?オケも小編成。指揮者は私も一度一緒に仕事をしたことがありますが、相変わらずの淡白さで、メインの楽器がエレクトーンだったこともあり、ミュージカルの音楽を聴いているようでした。これも、夢の世界には行けません。つまり、舞台にお客が集中できるよう要因が無いのです。何より、本来一番醍醐味を感じさせるべき、歌い手たち、特に男声が非常に力量不足でした。全、キャストです。せめて、ジェルモンくらいは何とか良い歌い手を連れて来れなかったのでしょうか?オーディションを受けた人たちでやると言う名目ならば、5000円もチケットを取ってはいけません。そうです。すべてにおいて、「実験」と言う名の元に、何一つとして満足できるものがこの公演にはありませんでした。
いつものことですが、一言付け加えて起きますと、これは私の主観です。お客様の中には喜んでいらっしゃる方も、もちろんいらっしゃいました。これが一番大切です。ですから、公演としては成功だったかもしれません。しかし、あくびを連発していた人も多かったのも事実です。私には、ちょっとした拷問となりました。実は、「椿姫」と言うオペラ自体、あまり好きではないからです。それでも、招待してくださった歌い手さんや、ヴィオレッタを歌った方は、非常に良く頑張っており、この歌唱を聴けたことが、少しは私を椅子に座らせて居てくれた要因ではありますが、しかし、正直、つらい日曜日の午後となりました。
どうせ、わからないなら「実験」などと名前を盾にして、「ちょっと変わったことやるかもしれないから、許してね」的な舞台を客に5000円で売るなんてやらずに、堂々オペラ演出に挑戦すべきです。そして、この経験や力量のない歌い手たちを成長させる舞台を作れなければ、オペラの場合、指揮者も、演出家も意味ないような気がしました。
それにしても、今日のように、あまりにも男声がひどかった公演も初めてです。これが、男声需要の弊害かもしれません。勉強や経験をつむ前に、どんどん声がかかって、これくらいでいいと思ってしまうのか、実際に良い歌い手がどんどん少なくなっていっているのか、わかりませんが。とかく、優遇される男だからこそ、人数が足らず、少々下手でもいいや、って使われてしまっているような感じです。女声が、いかにして、自分と向き合い、こつこつと勉強していて、役にも貪欲か判るような気がしました。これから、もっとこういう現象も出てくるかもしれませんね。そう言う意味では、行って良かったかも知れません。今の現状を見ているようでした。それにしても・・・・。もっと、真摯でただオペラを公演したいと言う団体は無いもんでしょうか?もう、飾り立てる時代は終わってると思うんですけどね~・・・・・。
Commented by 聖者ぼんちリンポチェ at 2006-04-24 00:14 x
ふむふむ。
少なくとも観客の一人がそう感じる「演出内容」で、
しかも「芝居に特化した」という触れ込みの「実験劇場」とは
あまりにもあってはならない看板ではないですかねえ。
何らかの新しい視点がなければ、それは「実験」じゃないですもん。
Commented by うさぎ屋 at 2006-04-24 11:38 x
今日はまとめてぼんちさんのコメント大会ですね~(笑)。こういった記事は私のまったくの主観ですから、その辺は踏まえていただくと良いのですが、私が苛々するのは5000円と言う代金なのです。主催者は、絶対に、お金を払わせる努力を怠ってはいけない。チケット収入で舞台を創るという形がある以上、チケット代金が高くなるのはしょうがないことですが、5000円で、これくらいの舞台が見れるならいいだろう、と、高をくくるのは間違っています。5000円だろうと、3000円だろうと、価値を見出すのはお客様ですもん。5000円なんて、私の食費の6日分くらいです(笑)。まあ、でも、やった方は自負もあるでしょうから、意味が無いとは言いませんが・・・。
by kuniko_maekawa | 2006-04-23 20:42 | 観劇日誌 | Comments(2)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。
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