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言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

村上曜子ソプラノリサイタル・日本歌曲の夕べ

本日は、ご招待いただいて、珍しく日本歌曲のコンサートへ行ってきました。かなっくホールと言うところでの演奏会でしたが、東神奈川駅の目の前にある、非常に響きの良いホール。神奈川は、以前、横浜オペラシティのお稽古で通いましたが、結構、こう言う小さく、音響の良いホールが多く、感心します。もう少し、都内に近かったら、使いたいホールは沢山ありました。

さて、コンサートの主役は村上曜子さんと言うソプラノの方です。昨年、先述した横浜シティオペラでお仕事をさせていただいたときに、「修道女アンジェリカ」のジェノヴィエッファという修道女役をなさっていて、そこでお知り合いになりました。非常に綺麗な声の持ち主で、レッジェーロでありますが、高音など、芯のしっかりした響きで空間を満たします。舞台の居方も非常に良く、今日も、歌っている間中、彼女の周りの空気が、良い感じで動いていました。

プログラムは、全曲日本歌曲。
前半に中田喜直の曲を中心にした、割とポピュラーな歌曲を集め、後半が山田耕作の連作を3本。この後半のプログラムが非常に良く、思わず聴き入ってしまいました。

オペラ以外で村上さんの歌唱を聴くのは、今日が初めてですが、彼女は非常に語感が良いです。感性があるのもそうでしょうけれど、日本語のボキャブラリーが、多分多い方なのだと思います。何故かと言うと、漢字をちゃんと表現して歌ってらっしゃるように、聴こえるからです。

私たちの母国語である日本語は漢字文化です。例えば「目」と「芽」。「箸」と「端」同じように発音しても、目で見ると表したいものが違うことが一目でわかります。しかし、その漢字自体のボキャブラリーがないと、この目で見たときの感覚が、表現としては起こりません。漢字を知らなければ、歌詞を読んでも、イメージが湧かないと言うわけです。
村上さんの言葉は、イメージが非常に豊か。ことに聴いていて漢字が想像できるのは、素晴らしいことだと思います。当然、表情も豊かです。これが、正しい感情のあり方だと思います。

山田耕作という作曲家は、皆さんご存知の「あかとんぼ」の作曲者で、オペラも多数書いています。そのためなのか、今日の連作は、どれもドラマチックに感じました。それぞれの題材も、百人一首や、柳川地方の方言を使った歌曲や、三木露風の詩を使った、ドイツ歌曲風のものまで、そのバラエティにとんだ作風にも興味を覚えましたし、それぞれの歌詞を、それぞれの楽曲にあわせて、村上さんが言葉を操る妙にも、心が動きました。本当に、彼女は声楽的なことだけではなく、言葉としての音楽を感じる方なのだと思います。これからも、ますます歌い続けていただきたい。本当に、清々しく家路に尽きました。

一つ、特筆だったのは、ピアノを弾かれた嘉山淳子さんが素晴らしく良かったことです。しっかりした音もさることながら、決して強すぎず、弱すぎず、何より、彼女の中の音楽観が豊かで素晴らしい。ピアノが歌うのですね。その歌と、村上さんの歌が合わさって、なんとも豊かな音楽が流れていました。技術も素晴らしい。こんなに豊かなピアノの音も、久しぶりに聴きました。まだ、音が耳に残っている感じ。

最近、演奏会にご招待いただくことが多く、嬉しい限りです。どんなに忙しくても、やっぱり足を運ぶべきです。こんな風に、気持ち良い音楽に出会えるんですもんね。
大きな舞台を踏んで、有名になることは大切なことかもしれませんが、こんな風に、地道に勉強しながら、豊かな音楽を創れる音楽家になることの方が、本当は、もっと大切なことかもしれないと、改めて思います。だって、聴いてらっしゃったお客様たちが、みんな、嬉しそうでしたよ。こんなに舞台と客席が近いなんて、素敵です。
それぞれ、醍醐味は違いますが、やはり、私は草の根推奨派かな~(^^)
とにかく、とにかく、楽しく、心地よい、演奏会でした。今日も、神様に感謝です!
by kuniko_maekawa | 2006-07-19 23:56 | 観劇日誌 | Comments(0)

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