人気ブログランキング |
ブログトップ

言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

打ち合わせ

今年下半期、私は演出助手として3本。演出家として一本、公演に携わります。レチターレとこれからやるであろう、朗読会をあわせれば、年内に5本。年明けに一本と言う計算です。これは1年を分けて、結構働いていますし、2本は稽古と本番が重なっていますので、中々行動的な1年と言えます。あまり忙しいことを好まない私としては、不測の出来事ですが、まあ経済的にも潤うし、去年1年を休んだ分のギャップを埋めるためにはちょうどいいかもしれません。
さて、オペラ公演を起こすには、さまざまなプロセスを踏んでいかなければなりません。そのために、「打ち合わせ」と言うものが何十回と繰り返されます。本番までの流れは、だいたい次の通りです。まず、制作が立ち上がり、あるいは既存の歌劇団などで企画が興され、演目が決まります。そうしますと、その作品や団体の要する、指揮者、演出家を選出。ここらで、まず一回目の打ち合わせ。つまり、どれくらいの予算があって、どれくらいの規模を団体が望んでいて、ダブルキャストなのか、シングルキャストなのか、オーケストラは使えるのか等々、大まかな概要が話し合われます。それから演出家、指揮者がそれぞれのスタッフクルーをそろえていきます。指揮者でしたら、副指揮者、ピアニスト、場合によってはオーケストラの人達。演出家の場合は、舞台監督、演出助手、舞台美術、照明、衣装。ここが決まると、次に、オーディション等がある場合は、それをやってキャストを選出します。それから、実際に音楽スタッフは音楽稽古に入ります。さて、演出家のほうは、オーディションが終わり、役が決まると、それぞれのスタッフと個別の打ち合わせを始めます。ここからが、長い道のりです。
まず、最初に演出家とそれぞれのプランナーとのコンセプトの投げ合いをやります。演出家のイメージを伝える作業ですね。それが終わると、最初の段階の絵をそれぞれ描いてきて、演出家と、舞台監督のもとで打ち合わせをします。この個別の打ち合わせを2回くらいやった後に、今度は全員そろったところでの打ち合わせになります。ここにはすべてのプランナーが居ることが望ましいです。ここで、疑問ですよね。舞台美術、衣装、メイクまではなんとなく想像できても、照明とかも参加するの?って。ここが、舞台って総合芸術だなと思うところですが、舞台セット、照明の機材は、すべて舞台上にある空間で仕込まれていきます。もちろん、この段階でプラン自体は舞台美術家のものですが、このセットとそこに立つ歌手に明かりを当てるのは、照明家の仕事。と、言うわけで、舞台セットが実際に立たされる位置。形、これによって照明のラインを創っていくわけですから、当然一緒に打ち合わせをします。特に重要なのは、「吊り物」と呼ばれる、パネルや、幕類。これは舞台の天井に設置されています、可動式のバトンに仕込んで、そのバトンを上下させて舞台上に降りてきたり、上がったりするもの全般をいいますが、そのバトンには照明機材も仕込むわけです。それで、どのバトンを照明さんが使って、どのバトンは舞台美術の方で使うと言った取り決めが重要です。どちらも、ちょうど良い位置というものがあるのですね。それから、ここに衣装さんが居るのは、ひとえに「色」です。舞台美術のセットの色がどういう色が貴重になっているか、照明のコンセプトがどういう色を中心に出してくるか、それによって、衣装デザインを変えなければいけないこともあります。このすべてをまとめているのが舞台監督。私がやっている演出助手はこう言ったプランナーの打ち合わせの場合、話を総合的に聞いておいて、基本的に人の動きについてチェックしていきます。演出家の稽古の様子と、打ち合わせのプランの方向性が違うこともありますから。でも、これはあくまで人の動きに限ります。道具の事や等になると、舞台監督の仕事ですから。こんなわけで、それぞれのセクションで、プランや必要な情報を提供して行くのが打ち合わせです。
それにしても、打ち合わせと言うのは、本当に根気のいる時間です。やはりタイムリミットのあることですから、皆、妥協せずに何度も話を蒸し返していきます。真剣であれば、あるほど、重箱の隅をつつくような話し合いになります。それに、日本のオペラ公演のほとんどは「予算」と言うものがたっぷりあるとは限りませんから(ほとんど無いです)、演出家の方もプランナーの方も、限りある予算内で、ぎりぎりまで頑張ろうとする。どうしても解決のつかないことだと思っても、長い時間をかけて、皆で解決策を練ります。しかし、それも、良い作品を創りたいという思いが強ければ強いほど、こう言った打ち合わせは何度も行われます。そうやって創った舞台は、やはりいいものが出来上がります。しないわけには行きませんね。先月から、隙あらば打ち合わせと言う感じで、下半期の公演の準備をしています。この打ち合わせが終われば、たち稽古に入り、あとは本番に向けて仕上げていくだけ。公演自体は2時間か、3時間で終わってしまうものですが、そこに半年を掛けるのが、醍醐味かもしれません。
by kuniko_maekawa | 2005-08-09 02:11 | オペラなお仕事 | Comments(0)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31