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言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

「シラノ・ド・ベルジュラック」

昨日チケットをいただいて、市川右近さんの「シラノ・ド・ベルジュラック」を観て来ました。

これはかなり有名なお芝居。

顔の大部分を隠すような大きな鼻を持っている稀代の剣士シラノ。腕と同じくらい、文学の才能があり、綺麗な詩や恋の言葉を紡ぎだすのが得意。

彼が恋する従姉妹のロクサーヌがある日、ある男への恋心をシラノに打ち明ける。
シラノはずっと彼女に恋していたのだが、醜い鼻を気にして打ち明けることが出来なかった。

その男、クリスチャンは容姿はぴか一だが、無骨者で恋を語る術を知らない。
そこでシラノが変わりに恋の言葉を述べ、手紙を書き送り、ついには彼女の心をクリスチャンに向けることに成功するが、彼は戦争で死んでしまう。

自分が手紙の相手だとは打ち明けずに14年、喪に服したロクサーヌを修道院へ尋ね続けたある日、悪漢の手によって命を落とすシラノ。最後の彼の気持ちに気づいたロクサーヌが彼への愛を打ち明けて幕となる。

フランスのお芝居で、かの名優ジャンポール・ベルモンドがこのお芝居をひっさげて来日した時、観にいって、夢のように綺麗な台詞に感動したのを覚えています。

今回は青山円形劇場で、名前の通り丸い空間に、歌舞伎の緞帳のような幕を張り、客席の真ん中に丸い台が二つ重ねておいてあって、それだけのセットです。

まるで芝居小屋のような雰囲気の中、それぞれの役者さんが息が掛かりそうな近さで演じて行きます。

いや~、どの役者さんも本当にうまい!
主役をやった市川右近さんは当たり前で、その他脇を固める役者さんも本当に芸達者です。
いや、話芸達者というか・・・・。

右近さんは市川猿之介一門の方で、世襲制では無く歌舞伎役者になったひとですが、それでもしっかりと芸が磨かれていて、立ち居振る舞いも語り口調も、すばらしく「型」が決まっています。

なんというか、揺るがない核を持っている感じ。
だからと言って、ナチュラルな演技が出来ないわけではなく、しかし芯が一本入っているという感じなんですね。存在感が違いました。

同じ市川姓の市川猿弥さんと言う方も、すごく上手でした。同じように、空間の居方に芯があります。

ロクサーヌを演じた安寿ミラさんも、元宝塚の方で、これまた「型」がしっかりと体に入っている感じ。たたき上げは違います。オペラ歌手にも、この芯があればなあ・・・・。

いやいや、ある人もいるので比べようもありませんが、とにかく面白い空間でした。

照明はあかり組みの山口暁さんで、8月のミラマーレ公演「魔笛」でご一緒したばかり。
何度かお仕事していますが、いつも、静かに存在する明かりが作れる人。

今回は芝居小屋の雰囲気だったからか、裸電球のような明かり以外、色を入れずに最後までゆっくりとした変化で、唸っちゃいました。

いつもすごく穏やかで綺麗な明かりを創る人ですが、今回は綺麗とは違う、「あるべき明かり」と言う感じ。う~ん、すごいかも・・・・。

最近、照明さんと色々お話しする機会が増えたおかげで、ちょっと興味のわくが拡がっているのですが、中々どうして魅力的な分野です。

「シラノ」は大好きなお芝居で、何かあると観にいくようにしています。
映画だったり、芝居だったりですが、それだけ魅力がある物語です。

何より台詞の綺麗なこと。
原語のフランス語で聞いたときは歌っているようでしたが、日本語で聞いても、流れるような節回しのある美しい言葉が並びます。

今回は口語体。
古い言葉で話されています。衣装は1600年代。しかし、音楽の雰囲気と明かりは日本の見世物小屋のような感じ。面白い空間でした。

演出も好きでした。
芝居の場合は、演出よりも役者を見てしまうのですが、今回は調度良い混ざり具合。とにかく楽しみました。

毎日オペラに浸かっていると、芝居が本当に新鮮です。
もっと観にいけばいいんですが、忙しい時はとにかく頭が他を向いてくれない。誰かに誘わればまだしも。それでは拡がらないんですけどね・・・・。

9日までやっています。ご興味のある方は是非足を運んでみてください。
本当に楽しめるお芝居ですよ!(^^)
by kuniko_maekawa | 2007-09-03 21:51 | 観劇日誌 | Comments(0)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。
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