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言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

文学座公演「DOUBT~ダウト 疑いをめぐる寓話~」

本日吉祥寺シアターでお芝居を観て来ました。

文学座公演「ダウト」です。

パトリック・シャンリイという戯曲作家の台本で、2004年のトニー賞やピューリッツァー賞など受賞しました。

シャンリィは「月の輝く夜に」と言う映画ご存知ですか?これの脚本を書いた人。
私はその前に「お月様へようこそ」や「ニューヨークの女たち」などお芝居の方で知っていました。
元々好きな作家ではありましたが、この作品は特に秀逸。
今もブロードウエイでロングランしていると思います。


これには副題として「疑いをめぐる寓話」と言う題が付いています。

1964年のカソリック教会の学校が舞台。
校長であるシスター・アロイシスの元に若い教師であるシスター・ジェームズが訪れます。
その日鼻血を出して早退した生徒の話をするためでしたが、ひょんなことから神父であるフリンが特定の生徒を気にかけていると言う話になり、そこからアロイシスにある疑惑が生まれます。

つまり、フリン神父がその特定の生徒に性的関係を強要しているのではないかというもの。

しかもその生徒は黒人。
前の学校で殺されそうになって転向して来ました。

フリン神父は彼を司祭室に誘って話をしているとのこと。

しかし、教室に戻ってきたときには彼の様子が変で、息が酒臭かった。

これだけを書くと、確実にフリンが加害者のように思えますが、具体的な証拠は何もありません。

フリン神父は30代後半で、はつらつとした容貌と機知にとんだ話方、誰とでも気さくに応対し、生徒たちにも人気がある。

その生徒は家でも父親に殴られ、愛に飢えていた。

酒臭かったのは祭壇用のワインを飲んだから、そのために礼拝の持者役を降ろされなければならないのを阻止するために、彼をかばったとフリンは言います。

しかし、アロイシスは頑として彼を疑ったまま、なんとか学校から追い出そうと手を尽くします。

間に立ったシスター・ジェームズは段々と何を信じていいのかわからなくなり、悪夢を見始める。

物語は最後までフリンが有罪か無罪かをはっきりせずに終わります。

役者さんは三人とももちろん文学座の俳優さん。

見事な人たちばかりでした。

特にアロイシスを演じた寺田路恵さん。
TVでもお馴染みですよね。秀逸です。

この役は、ただ頑固だけでもだめで、頑ななまでにフリンを疑うその姿勢にこそ、啓示があります。

フリンと対決して彼の言い訳を納得したシスター・ジェームズに彼女がこういいます。
「あなたは早く解決したいだけ」

まさに、こういい続けるのがこの役です。

曖昧な対象に関して、大方の意見に流され、真実を見つけない現代への警告。

それでも結局は解決できない正義をものすごく頑固に貫き通そうとする。

大変なこの役を見事にこなしていました。

芝居の醍醐味は本当に役者の仕事にあります。
舞台はそれを絶対に壊さないためにあるような感じでした。

実は今回の目的は照明家の沢田祐二さんの明かりを観るため。

沢田祐二さんは吉井澄雄さんと共に、照明界の大御所。
私ももちろんお名前は存じ上げています。

吉井さんはむか~し、照明のQ出しをしたことがあって、ご本人との面識はありませんが、関わらせていただいたことがあります。

しかし、沢田さんはご一緒する機会がありませんでした。

でも、彼を手本とする照明家も多く、私自身もこのところ、色々と沢田さんのお話を聞く機会があり、いつか沢田さんとお仕事したいなんて夢もあり、軽くストーカー入っているのです(笑)。

と、言うわけでチラシやネットで沢田さんのお名前が入っている公演を探して「ダウト」がヒットしました。

しかも美術はこれまた大好きな朝倉摂さん。

客入れの時からどきどきするくらい世界観が好きでした~(;;)

沢田さんの明かりは本当に怖いくらい変化が自然です。動いてから気づく。

オペラと違って芝居の場合は音楽はありませんから、台詞の中で明かりも動いていくわけですが、芝居に入り込んでいて佳境の台詞になって行くにつれて、いつの間にか明かりが変わっていて役者の雰囲気が変わっている。

それに「ふと気づく」と、どきっとするんです。
あああ~、なんでこんなことできるのかしらん???

そして、そして、何よりすごいのは、彼の使うアンバーがものすごく納得できること。

アンバーと言うのは夕焼けなどをあらわす時に照明に使われるオレンジ色の明かりのこと。

本来は「褐色」がアンバーだと思っていますが、良く情景として使われます。

私はこのアンバーが大嫌い。

どうしても和的に暗いイメージがあるのと(行灯みたいに)、有色人種である日本人の肌に一番合わないと思うから。単純に汚く見える。

ところが、今日初めてアンバーってこういうことなんだと理解できたことが・・・。

これって文章にしにくいので、とりあえず今度自分で色を使う時にそうしてみようと思いますが、う~ん、さすがだ~と唸りました。

もちろん、これは私が感じることですから、本当に沢田さんがそう意図して作ってらっしゃるかどうかはわかりませんが、とにかくすごいと思ったんです。

いろんな意味で完成度の高い舞台でした。

ロビーで販売していたシャンリィの台本を早速買って電車の中でもう一度感動。

最近ちょっとオペラ離れしている私。

勢いづいて3本ほど観たい芝居のチケット買っちゃいました。

それにしても芝居も最近はチケット代、結構高いです~。
でも、これは投資。勉強代です。

明日から一週間は21日からの立ち稽古に向けて準備を始めます。

色々と触発された二週間でした。

さて~、また本腰入れて頑張るぞ~!!

いつか、沢田さんや朝倉さんとご一緒できるように。
いや、ご一緒します!
願えば叶うはずですから!がんばろ~っと!!
by kuniko_maekawa | 2008-04-13 21:37 | 観劇日誌 | Comments(0)

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