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言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

向かい合うレベル

さて、今日は久しぶりにS音楽大学での授業でした。

昨年から参加している、オペラ実習の授業。

大学の3,4年生、大学院生たちと、曜日を違えてオペラを学んでいきます。

演出家としての授業ですからもちろん私の領分は、立ち稽古。

それまではオペラ実習を担当している声楽科の諸先生方が、この学生たちの授業を見てくださっています。

実際に試演会をそれぞれやり、最終的にはお客様の前で歌うと言うのが目的。

やはり舞台にのって初めて、表現をすることが成り立ちますから、それは不可欠です。

7月も二週目からは夏休みに入り、実際の立ち稽古は9月からですが、今週、来週と、9月からの立ち稽古に備えて、基礎演技的なことや楽譜の内容のことなどを色々やろうと思っています。

今日は学部生たちとの最初の授業で、これまでに彼らが音楽稽古をしてきた成果を聴かせていただきながら、これから何が必要かを話してきました。

午前中は3年生。

ほとんどが始めてオペラをやるといった子たち。

おそらく、私が話すことや、実際に自分たちが役を作って舞台に乗せると言うことに、まったく具体的なイメージが無いのが正直なところ。

ですから、話をしていても、質問をすると言うよりも、こういうもんだよ、って、かなり情報や知識を与えて、興味を起こしていくのが大変。

午後からは4年生。

昨年もこの授業を取っており、更に勉強したいとか、いずれはオペラ歌手になりたいと具体的に考え始めているような子も出始めています。

しかし、まだまだ声のことや音楽観みたいなものは未知数。

彼らの可能性も未知の代わりに、私との距離はやはり遠い。

こういう人たちと向き合っている時のエネルギーの放出と言ったら半端じゃありません。

何せ、相手は真っ白。オペラと言うものに対しての引き出しもゼロ。

もちろん、歌い手としても未熟ですから、テクニックは愚か、まだ響きもつかめてない段階。

しかし、この「ゼロ」と言う状態は逆を返せば、知りたいことや欲求がものすごくあるってことでもあります。

まるでザルや穴が開いたバケツみたいに、何をいれてもこぼれて行ってしまう、底なしの欲求って本当にすごいです。

私が何を喋っても、初めて聞くものばかりという顔つきで、興味が沸いてくれば来るほど、「もっと話して、もっと言って、もっと動いて見せて」と、まるで雛が餌を欲しがるような凄みも感じたりして・・・・。

しかし、彼らの何かを刺激し、そういった状態になってくると、途端に彼らのエネルギーは倍増。

しかも、私は一人ですが、相手は30人くらい居ますから、もう・・・・・・(@@)

授業が終わると、私はすっかり力尽き、お腹がすくかと思いきや、食欲もなくなるくらい・・・。

さて、こういうことは研究生や学生ばかりと付き合っていると、あんまり気にならないことで、なんでも一生懸命やっていれば、エネルギーってなくなるよな~なんて思ってしまいそうなんですが、向き合うレベルが違えば全然違うんです。

今現在、稽古を進めている「オルフェオとエウリディーチェ」の稽古。

昨日の日曜に音楽稽古を開始しました。

3人の女声と同じように向き合って、丁寧な本読みをしています。

彼女たちも、この作品が初めてですし、私との稽古も初めてな人もおり、やはり「知りたい」と言う欲求のボルテージは上がっているのですが、彼女たちとの稽古は、ここまでのエネルギー放出はしない。

疲れ方は同じでも、食欲まではなくならない。

むしろ、ちゃんとお腹がすいて、実に健康的(笑)。

これはですね、ひとえに、彼女たちのレベルが学生たちに比べて高いからです。

当たり前のことですが、このレベルと言うのは、実力だけではなく、やはり経験値や引き出しの数だったりするのですが、一番の違いは、素材としての自分をどれだけ認識しているかと言う事。

つまり、学生たちは、まだ自分の勉強のためや自分の興味のために、この授業で学ぼうとしていますが、オルフェオの女声たちは、客のために自分が何を出来るかを私との稽古でつかもうとしています。

そのために、オルフェオ組みは自分たちの足らないものを補って、自分たちの中で練り、それをまた全然違う表現として出してくると言う、キャッチボールが成立します。

学生たちは、なんと言ってもまだ学生。

いろんなことが未知数。

オルフェオ組はみんな四十路。

舞台の経験も多いです。

私は、どのレベルの人たちとも、もちろん真剣に向き合って、へとへとになりながらも、それぞれから受ける刺激を、また自分の糧にして舞台を創っています。

こんなこと、滅多に経験できることじゃないですよね。
幸せなことです。

「オルフェオ」はまた今週から音を創っていく作業が始まります。

女声たちは、かなりレベルが高く、私もまだ予測できない音が沢山出来そうです。

どうぞ、皆さん、会場に足を運んでくださいね。
お待ちしています!

それはともかく、さすがに今日はへとへと・・・・。

明日は一日勉強して、また明後日、今度は大学院の学生たちと勉強してきます。

これもまた違うレベル。

しっかり体力、知力を養わなきゃ!

夏になってきて、毎日蒸し暑いですね。
夏ばてに負けず、頑張りましょう!
by kuniko_maekawa | 2008-07-07 21:35 | 演出家のつぶやき | Comments(0)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。
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