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言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

2005年 09月 17日 ( 1 )

稽古場のマナー

まあ、トレーナーのつぶやきと言うより、演助のつぶやきと言う感じですが、ここ最近持っている稽古場の一つが非常にマナーの悪い人達が揃っています。これは、最近のオペラ団体にしては珍しい現象で、久しぶりに仕事を始めた頃に戻った感じがして、呆れています。
私が若い頃、まあ、ほんの20年くらい前ですが(笑)、その頃はオペラがやっとメジャーになってきたときで、団体によっては、原語で歌わないと言うところがあったり、歌い手さんたちの意識も、少し低く、本番に間にあうように覚えればいいといって、楽譜を持ったままたち稽古をするとか、そう言う隙間だらけの時代でした。稽古場における演出家や演助の位置も、そんなに重要視されておらず、歌い手さんが強かった時代です。今では考えられませんね。ところが、そのマナーの悪い稽古場では、20年前の隙間だらけの状態が歴然としてあります。暗譜が出来ておらず、音楽が作れていない、稽古中集中力が無く、演出家の話を聞いておらずにキャスト同士で話をしている。音が出ても、喋っているか、何か違う音を立てる。お読みになってる皆さんは、研究生か学生の稽古場だと思ってらっしゃるかもしれませんが、れっきとしたプロのオペラ団体の、プロの歌い手達でなされていることです。この稽古場にはほとほと呆れます。
こう言ったマナーは、自然に伝え聞かされていくもので、学校や研究生機関できちんとした講師がいる場合は歌うことだけでなく、そこもちゃんと仕込まれてプロの稽古場に上がってきます。しかし、中にはそこまで細かく教育しないところもあり、後は人格形成と一緒で、育ってきた環境、出会った人達、それと、その歌い手自身の人格です。例えば、自分の出番が終わって、次に流れている曲が静かな曲であるにも関わらず、大きな音を立てたり、足音を立てて歩いたり、喋ったりする。しかし、自分に置き換えてみれば、わかることです。静かな曲の中でその感情を作って、歌いだそうとしている、まさにそのときに、どたどたと歩かれたり、誰かが笑い声をたてたりして、集中できますか?こう言ったことがわからない歌い手は、まず音楽家ではありません。私達スタッフがこれをやったらぶっ殺されますよ。昔は実際に怒鳴り飛ばされてました。
そう言う意味では、最近歌い手を教育する人もいなくなりました。私自身は、昔口うるさく言われたからこそ、今があると知っているので、研究生機関でも、稽古場でも口をすっぱくして言うことにしています。しかし、プロの団体で、プロだと思って対応している歌い手に、マナーが悪いことを注意することはしません。あまりにも、こちらが悲しくなるからです。そこまでもきちんとわかった上でのプロですもんね。
言っておきますが、こう言った稽古場の方が最近は珍しいです。いまやオペラの現場もかなりグローバル化されましたし、立ち稽古までに音楽を作り、役を作って来るのが歌い手の仕事だということも、常識になっています。ですから、私のような仕事も成り立っているわけですが、だからこそ、このマナーの悪い稽古場にすごく腹を立てています。結局はその団体の稽古場が歌い手に舐められているからです。しかしですね、簡単に捨てるわけには行かない理由もあります。そう言う稽古場でも、必ず真摯に作品に向き合っている歌い手さんがいるからです。黙々と自分のやるべきことをやって、集中しない歌い手をよそに、本番までの調整に入っています。私はいつも、心で拍手を送っています。そして、その歌い手さんの為には、何をおいてもサポートしようと決めているのです。わかります?どの稽古場であろうと、歌い手さんを一番見ているのは、私達スタッフです。そして、私達はその一回の印象をとにかく良く覚えていて、大切にしています。だって、その人が本当に上手くなりたいとか、役を創り上げたいとか、そう言う熱意がわかりますもん。私達が創った稽古場で頑張っている人がいる。どんなにマナーが悪い稽古場でも、こう言う人が一人でもいれば、救われます。そして、次の現場で会った時に、またその人に一生懸命サポートをするようになっていき、なじみの関係になるのです。
それにしても、この稽古場をそのままにしていては、あまりに演出家が可愛そうです。そろそろ、おばさんパワーを全開させるべきかもしれません。ふ~・・・(TT)
by kuniko_maekawa | 2005-09-17 00:59 | オペラなお仕事 | Comments(2)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。