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言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

2007年 02月 02日 ( 1 )

経験を積むことの意味

色んな現場で色んな歌い手を見るに付け、その人たちの「経験」と言うものの捉え方に、その歌い手の資質を感じます。

「経験」を広辞苑で引くと、こんなことが書いてあります。
<人間が外界との相互作用の仮定を意識化し、自分のものとすること。人間のあらゆる個人的社会的実践を含むが、人間が外界を変革すると共に、自己自身を変化させる活動が基本的なもの>

他にもこう言うことも・・・
<何事かに直接ぶつかる場合、それが何らかの意味で自己を豊かにすると言う意味合いを含むこと>

良きことが書いてありますね。まさに、この通り。
つまり、様々な場所や人と共に、己を変革させて豊かにさせるということですよね。
私も、これは「経験」だろうと思っています。「相互作用」の結果。

しかし、目の前にある現状はそうとも言えないみたいです。
例えば、自分のやりやすいようにしか、稽古場を成立させられない人。
多分、こう言う人は、どこの稽古場に行っても、自分以外の人達を疑い、結果的には、受け入れないと言うことでしょうが、この人の過程を見ていると、受け入れたところだけよくなっていきます。例えば、声とか、語学とか。そこは扉を開けているのでしょうね。そう言う意味では相互作用の結果が良く見える人かもしれません。

それから、なんでもかんでも仕事とあらば引き受けて、稽古場を重ねている人。
これは、周りも間違いやすいことですが、沢山、稽古場に行けば、「経験」が積み重なるかと言うと、そんなことはありません。
私の周りにも、忙しい人は多々ありますが、その忙しさの中の稽古場でお会いしても、対して変化は見られません。もちろん、出来てくるものはあるのですが、それは「方法」を知っただけ。残念ながら、ご本人達もわかってない様子。方法を知ることと、経験を積むことは違うことです。

プロといわれる人たちには、メソッドが必要です。
研究生のように、一々手取り足取り言われるわけではありませんから、なんとか形に表さなければいけませんから、こうすれば、こう見えるということを、先輩歌い手などから学んでいくわけですね。それは非常に結構。やはり、皆が職人である場合、技は必要でしょう。

しかし、それで稽古場が通ってしまうと、それを使うことばかりになって、実は、ちゃんと中身を成立させるという勉強や知識を得ることが忘れ去られていきます。

沢山の稽古場で覚えた簡単なやり方は、真実を隠してしまうことがあります。
つまり、目で見えたものが出来ているように見えれば、文句も言われないということですが、これが、器用貧乏といわれる人たちで、こちらもプロだと思ってますから、内容自体がわかって無くても、学生のように、多くは言えないのが現状。

その「言われない現状」を「出来ている」と勘違いして、そのままメソッドだけで沢山の仕事をこなしているのが「忙しい歌い手」です。

こうなれば、いっぱしの歌い手だとみなして良いのでしょうが、大学や研究生の時には、掛け値無く内容に取り組んでいた教え子達が、段々に、こうやって「大人の歌い手」になっていくのを稽古場で感じるのは、どうにも心が痛いです。

しかし、気づかなければそれまでですから、一緒にやれないと思えば、結局は離れるしかありません。もっとも、この世界、同じ現場になることなど、何年かに一回あれば不思議と言う世界ですから、離れたと自分では認識しても、周りはわからないことは常ですけれど(笑)。

しかし、こう言うときの孤独感は、並大抵ではないですが、同じ稽古場にいる、大人の歌い手の中にも、まだ意識レベルを外側に持って、伸びて行きたいと思っている人はいますから、そう言う人を見つけて作品を作っていく。それは大きな喜びですよね。

私は、本当に真摯に自分と向き合って、オペラを愛していて、誰のためでもなく、お客様のために、素材となりきる歌い手をずっと探しています。そして、出来れば、そう言う歌い手とだけ、公演を作りたいと願っています。

実は、これも、これから私が成し遂げようと思っていることで、本当の意味での真摯な歌い手を、探していこうと思っています。そして、その人たちと話をして、公演を打っていく。
どんなことでもお互いを向き合って、稽古場を成立させられる歌い手。少なくとも、自分を楽器だと認識できる人と一緒にやりたいと願っています。

そうすれば、夢の舞台が出来ますよ。それこそ、世界中、どこにも無いかも知れません。絶対に成し遂げます。乞うご期待!です!(^^)
by kuniko_maekawa | 2007-02-02 12:29 | トレーナーのつぶやき | Comments(0)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。
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