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言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

2007年 09月 08日 ( 1 )

柴山 昌宣リサイタル

本日はバリトンの柴山昌宣氏のリサイタルに行ってきました。

彼は現在藤原歌劇団団員で、私とは大学の同級生。

元よりの美声に加えて品格があり、良い感性と知性を持ち合わせた稀有な歌い手さんです。

今日も彼の魅力が満載のリサイタルとなりました。

第一部はリストのよる「ペトラルカの三つのソネット」

これはペトラルカと言う詩人が恋人に当てたソネット形式(14行詩。二つの4行詩と二つの三行詩で構成され、ヨーロッパの抒情詩の代表的な詩型)の詩にリストが作曲したものだそうで、私も初めて聴きました。

ソネットと言う形式は韻によって語尾が成立するなど、言葉を多分に音として使っていきながら、14行のフレーズを作っていきます。楽曲もその音のフレーズ感を聴かせる感じがする。

柴山氏の歌唱は、そのフレーズ感を失うことなく、言葉が音として綺麗に聴こえてきます。
3曲ともゆっくりとした音楽でしたが、それでも詩の語りを聴いているのか、歌を聴いているのかふとわからなくなるような心地よさを感じました。

こういった曲を聴く時、彼の知性を感じます。
まるで詩人が自作の詩を語っているようです。ただ感情の赴くままではなく、恋人に贈る詩を語って聴かせながら、自分の気持ちを語っていく。う~ん、うまく文章に出来ませんが、二重の深さを感じるのです。最初から感激。(^^)

次のプログラムはトスティの歌曲。

先のリストとは全然違ったイタリアの空気が流れてきます。
不思議なことです。ソネットと言う形がなくなったからなのか、トスティと言う作曲家の音楽に彼の感性が響くのか、同じイタリア語なのに、言葉が違って聴こえるくらい、明るく感情的に聴こえます。

先のリストは知性を、このトスティは感性を堪能させます。う~ん、なんかすごいな~。

休憩を挟んで二部はロッシーニから。

これはもう、彼の真骨頂ですから、語るものなし!です。

本当に素晴らしい。時に「ランスへの旅」の「比類なき金貨」はお見事!
曲中、同じ歌詞をイギリス人、フランス人、ドイツ人、ロシア人となまりながらイタリア語で歌うところがあるのですが、まあ~、本当にそれぞれの言葉の違いを絶妙に混ぜながら、笑わせます。ほんっとに、この人は頭が良いです~(=^^=)

そして、そして、最後に歌った「ドン・カルロ」の「私の最後の日」
今日、このリサイタルの会場にいた人たちはみんな、この「最後の日」を確かに聴いたし、観たと思います。

ピアノの前のタキシードの柴山昌宣ではなく、目の前にあるのは確かに死に行くロドリーゴでありました。

この楽曲は本当に大変なアリアで、Scenaとしてもきちんと成立して尚且つ歌唱の力量も問われるもの。

本来、柴山氏はハイ・バリトンでロッシーニやモーツアルトがレパートリーであると思われます。
しかし彼は今年44歳。
歌い手としても年齢とキャリアを重ねてきた今、プッチーニ「外套」のミケーレなどにも挑戦し、新しい可能性を開きつつあります。

プログラムにも、「リストとヴェルディは新しい可能性への挑戦」とご自分でも書かれていました。

そして、私たちはこの「新しい可能性への挑戦」を目の当たりにし、感動したのです。

素晴らしいと思いました。
彼はまた階段を一つ上り、飽くなき欲求を持ち続けています。

私はほぼ彼と同じ頃に藤原でスタッフを始め、ずっと一緒に育ってきたような感があり、今日の彼を聴きながら胸が一杯になりました。

私たちは、まだ先に進むことが出来る。

自分でもそう思いながら日々を頑張っているつもりでも、もっと頑張っている彼がいる。

客席に座っている人たちは、誰もが彼を憧れの目を持って見つめ、感動の拍手をしています。

これからもずっとずっと歌い続けて欲しいし、ずっとずっと一緒に舞台を創って行きたいと、心から思いました。

彼を心から尊敬します。
そして、彼を支えて頑張っている奥様も。彼女も素晴らしいソプラノです。

こんなに感動したリサイタルは久しぶりです。
彼とは2月にご一緒する予定なのですが、心して掛かります。きっと沢山良いものをもらえると思うので。

頑張ること。この歳だから出来ることがあるってすごく納得した今日でした!
柴ちゃん、お疲れ様~!!!(^0^)
by kuniko_maekawa | 2007-09-08 23:24 | 観劇日誌 | Comments(0)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。
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