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言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

2008年 02月 09日 ( 1 )

ベームとR・シュトラウス

いやいや~、久しぶりにすんごく良いDVD観ちゃいました~!!!

これは往年の名指揮者、カール・ベームが指揮した「ナクソス島のアリアドネ」。
1965年のザルツブルグ祝祭小劇場でのライブ盤で、ベーム70歳の演奏です。

なんと言っていいのか、先日、関西二期会公演でもこの作品の音楽的な魅力は語らせていただいたのですが、これが指揮者によって、こんなにも違ってくるのかといった感じ。

シュトラウスは以前から好きで、「サロメ」や「バラの騎士」など、いつか自分でも創れたら良いと思っている作品ですが、この「アリアドネ」はもっと違った魅力を感じます。

シュトラウスはワーグナーから続いてきた「楽劇」と言うものを20世紀においてよみがえらせた人と言うイメージ。

この作品はそれが顕著に現れています。
モリエールの「町人貴族」を基にした1幕の楽劇。その劇中劇として演じられる2幕のオペラ「ナクソス島のアリアドネ」。
芝居対オペラ、セリア対ブッファ、貴族対平民、演者対作曲者。

カール・ベームはこのドラマを見事に振り分けているように感じました。

何より、新鮮!
若々しくてアクティブな音楽です。これで70歳???(1965年当時のですよ)

特筆なのは最初に一振りするその棒の先です。

「アリアドネ」の楽譜を私は見たことありませんが、そこに「Naturale e Allegro」とか書いてますか?って突っ込みたくなるような自然さ、そして軽快さ。

しかも、ひどい仏頂面(笑)。

彼のドキュメンタリーを持っていますが、彼が常々歌い手に言っていることは「私の指揮を見るな。君たちは音楽を感じていればいいんだ。」と言う事。

さもありなん。
彼の指揮を見ていると本当にそうだと感じます。

指揮棒から自然につむぎだされる音楽。指揮棒の末端から音楽の線が見えるみたい。

そのまま1時間、あっという間に1幕修了です。
でも、まるでBGM(上質です!)のように、流れていく音楽のドラマ。ひえ~、すっごい~(@@)

演出も歌い手も本当に良いです。

画面は白黒ですが、セットも衣装も色が見えてきそう。それくらい音楽が想像させてくれています。

ぜ~んぶ、真っ黒で舞台創りたいとさえ思いました(笑)。

歌い手もこの当時一流だった人みたいで(すみません、解説書見るまで知りませんでした)、特にツェルビネッタが素晴らしい。レリ・グリストという黒人歌手ですが、素晴らしい歌唱力と表現力を持っています。

作曲家もズボン役としては当代随一といわれた人ですって。ユリナッチと言います。

この二人のデュエットは夢のようです。
シュトラウスの官能的な音楽をベームが魔法のように指先からつむいで、それを歌い手たちが自然と楽器になって演じていく。理想の形です。

彼らはほとんど余計な動きをせずに、ツェルビネッタの誘惑に作曲家が負けていって、生まれ変わる瞬間がはっとするほど刺激的です。

面白かったのは、執事長という語り役が出来てきて、物語を進行させていきますが、その進行するときに相手をするのが音楽教師と言う役。

これは作曲家の先生で、自分の弟子のオペラを成功させてやりたいと思っている。けれど、執事の雇い主である大金持ちは、オペラの合間にブッファを入れ込みたいと要求を出してきた。

この掛け合いを二人がやるのですが、台詞を喋っている方も歌っている方も、ほとんど会話に区切りが無いです。

変な書き方ですが、両方の会話のレベルが同じなんです。音的に。

これは役者が良いのか、演出家が良いのか、ベームが良いのかわかりません。おそらく全部だと思います。

これがシュトラウスの望んでいた楽劇なんでしょうか?
オペラに芝居的要素を音楽的に成立させようとしたってことですよね。

私がシュトラウスを好きなのは、この「音楽的に」と言う彼の方法を絶対に変えなかったことです。

こうやって台詞が入ってきても、それが音だと感じることがオペラにおける「芝居的要素」と言うのならば、許せるということ。

それをベームが本当に理解して、ただの伝えてとして指揮棒を振っている。
この職人気質と音楽性に脱帽です(;;)

このDVDは忘年会で師匠の自宅にお邪魔した時に、「すっごく良いから」といって貸してくださったものです。まさに・・・。

しばらく堪能していたらば、昨日「はよ、返せ」のメール!?
あわわわ・・・すみません(^^;)

どうやら師匠も時々観たくなる様子。
慌てて自分で買いました。ついでにプリン・ターフェルのサロメも(ヨハナーンで選んでるのです)。

また等分シュトラウスにはまりそうです。(^^)
by kuniko_maekawa | 2008-02-09 14:38 | 観劇日誌 | Comments(0)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。
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