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言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

2008年 08月 11日 ( 1 )

演出家で居ることの意味

芝居やオペラやミュージカルや、あらゆる舞台は演出家が構成し、創っています。

そのコンセプトに、舞台美術家や照明家、衣装家、と言うプランナー達がヴィジュアルを創るために添ってきます。

現場での指揮は舞台監督の範疇ですが、基本、演出家の意向にそって物事は進んでいきます。

とりあえず、私も演出家です。

大きな舞台を創ることは少ないですが、前述した人々の中心となって舞台を創っています。

なんでこんなことを書いているかと言うと、なんだか演出家ってわけわからない職種だなあ~と常々思っているからです。

暇にしていると、他公演を良く観にいきます。

自分で観にいきたいと思ってお願いすることもありますし、お誘いをいただくことも多いです。

そのたびに、やはり演出を目にするわけで、何も感じないわけにはいかない。

残念ながら往々にして、あまり好きなものはありません。

特にオペラは。

自分も同じ分野に居て、作品を知っていたりすれば尚更、読み方が気に入らなかったり、音楽が気に入らなかったり。

好きな場合ももちろんあるのですが、演出家なんて、それぞれがポリシーを持っていますから、絶対に許せない場合の方が多かったりする。

しかし、お客様は喜んでいるし、歌い手たちも満足しきった顔をみると、それは個人的な感想で、公演自体は大成功だったのだろうなと認識はします。

だから、それだけで演出の良し悪しは決められない。

そこに参加しているプランナー達もそうです。

演出家のコンセプトに添って、プランを出しているのだから、それが彼らにとっては正解ですよね。

これが、私の大好きなプランナーだったりすると、やっぱり切なくなる・・・・。

それでも、この演出家のコンセプトでも、ここまで綺麗な明かり、衣装を出してくるんだ~と思えば、それも彼らの職人的才能で、やっぱ一緒にやりたいと思うのですが、どうしても許せない場面も出てくる。

演出家ってなんだろう?って思うのはこういう時。

一緒に仕事をするスタッフ達は、やりたいことをはっきり言う演出家が好きです。

お任せの場合もありますが、そうするとコラポレーションしているように感じないと言われる。

しかし出してきたコンセプトに対して、どう関わるかはやはりプランナー達にお任せになる。

だから、自分と同じ感性を持ったプランナーとやるのが一番良い。

好きなことを瞬時に察知してくれて、データに入れてくれる。

彼らもそう思っているかもしれない。

でも、それが演出家の頭一つになると、客はどうなんだろうかと思う。

客にはわかんなくても良いから、自分たちの好きなことをやろうぜっ!って言うのは、やっぱり違うと思う。

これは制作にも当然言えることですが・・・。

何のために、この公演を打つのか。

どうしたいから、この演出家を選んだのか。

作品も、歌い手も、役者も、制作がどういう公演にしたくて選んだのか、良くわからない。

オペラの場合は、商業的に成り立たないと言う部分に皆が甘えている気もする。

予算が無いから、歌い手が居ないから、自分たちの場が無いから、勉強だから(これが一番嫌いです)、色んな理由で、個人的に公演が立ち上がってきている。

私は自分の中に二つのものが常にあって、いつも公演を観た後、なんだか腹具合が悪いようなものを感じる。

舞台を創り続けたいと切望している情熱に駆り立てられる自分と、演出家というものの曖昧さと責任に辟易している自分。

舞台を一つ創るたびに、そう思います。

すべての問題を解決するためには、結局は大きな組織を作るしかないのかもしれないとも。

今がなんだか変わり目のような気がする自分があります。

だからこそ、焦らず、じっくりと成すべきことを見つけないといけないかも・・・・。

先日、師匠と飲んだ時に、その時はまだ創る事にこだわっていた私と違って、彼は「今思うのは、これから先、何を残していけるかと言うことなんだ」とおっしゃっていました。

私は45歳。彼は59歳。

先を見る目が違うのか、と思っていましたが、そうでないことに今気づいています。

私がどうしても受け入れられない舞台は、多くが演出家や製作者が好き勝手に創って、そのまま捨てていっているものです。

そこには、やりたい放題やった演出家の残像が廃棄されるのみ。

でも、それじゃいけないんです。

人、一人の思い込みが垂れ流しになるのじゃなくて、関わったスタッフたち、出演者たち、何より観てくれた人たちの心に、確実に残る何かを提供しなくてはいけないんです。

だから、作品に嘘をついてはいけない、簡単なことをしてはいけない、丁寧さや誠実さを欠いてはいけない。 
そう、改めて思います。

今は、ちょっと舞台を創るのを休みたい気分。

どうせ、仕事も切れています(^^;)
良い機会ですから、じっくり考えて、これからは焦らず、本当に必要な舞台だけを創って生きたい。

切に、切に、そう願います。
by kuniko_maekawa | 2008-08-11 12:55 | 演出家のつぶやき | Comments(2)

オペラ・レッスンのこと、演出のこと、舞台や絵画や色んなことを書きまくっています。
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