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言の葉のいずるよりも前にきみが好きだった

2012年 06月 11日 ( 1 )

気持ちがぶれないと言うこと

一昨日、コンサートに行きました。

鈴木絵麻さんと言う歌手の方と、長い友人であり、素晴らしきピアニストでもある渡辺まどかさんのコラボレーションで、「あめのいとをつむいで」と言う素敵な題名のコンサート。(^^)

聴かせていただくのは二回目ですが、今回も心を癒される素晴らしいコンサートでした。

このコンサートは、絵麻さんが手話をやりながら、色んな曲を歌っていきます。

彼女は、パイオニアの社員で会社の合唱団に所属してから声楽と手話を学び、それをライフワークとして演奏活動を続けていらっしゃいます。

彼女の手話は本当に綺麗。

踊るように指先がゆらめいて、それを見ているだけでもうっとりして気持ちよくなる。

コラボした渡辺さんは、藤原歌劇団で長年お世話になっているピアニスト。

技術もさることながら、彼女の音はいつも誰かに、何かに必ず会話を投げかけている。

オペラのScenaは尚更、歌曲の伴奏であっても、休符の中まで言葉が潜んでいそうな暖かい空間。

時計軸も見事で、空白の余韻に想像させられるピアニスト。

それだけでも特筆ですが、このコンサートでは、「サウルハープ」と言う、小さな竪琴みたいなハープも弾いて絵麻さんの世界に添っています。

このお二人の音楽が非常に心地よい。

絵麻さんの澄んだ声と手話によって生まれる空間に、まどかさんの言葉の音が添って行って、えもいわれぬ空間が出来ていきます。

なんだろう...シャボン玉の中に入ったらこんな感じかしら?(笑)

前回も思いましたが、手話は究極の字幕スーパーです。

英語の歌詞もあったのですが、観ているとなんとなく歌詞の内容がわかる。

共通の指文字以外は、どういう形を使うかはその人の感性だそうで、例えば「ふるさと」を手話で表すとすると、「懐かしい場所」とするか「知っている場所」とするか、絵麻さんは「生まれた場所」としていましたが、それは手話を扱う人の感性なのだそうです。

そこも非常に気に入っています。

伝える人の言葉が見えるから。

手話体験するコーナーもあるのですが、自分で手を動かしながら、本当にすんなりと歌詞が心に入って来る。

例えば海外などに行って、ゼスチャーで切り抜けたなんて話を良く聞きますが、同じことだと思います。

「耳の聴こえない人に、あるいは言葉の通じない人に、言葉を見せて伝える」わけですから、何を伝えたいか、伝える方にしっかりとした意志があれば、手話やゼスチャーは一番有効なものではないかと思うほどです。

何よりも、彼女自身の意識にブレが無い。

手話を通じて伝えることをライフワークにして活動する、と言うしっかりとした志が根ざしていて、それがこちらにもはっきりと伝わってくる。

これはハープを弾くまどかさんも同じで、彼女がピアノやハープを使って絵麻さんの志に添って行きながら、本当にやりたい音楽がしっかりと客席に伝わってきます。

実は3月に行った、私のクライアントさんのフランス歌曲のコンサートの時も同じ清々しさを感じました。

つまり、「自分たちの音楽はこうだ!」と言う信念が本当にぶれてないのですね。

これって本当に大切なことだと思いました。

例えば経歴等を見れば、音大などを出ているわけではないと言う事で、プロではないという人がいるかもしれません。

しかし、彼女の持っている手話の実力や、それをして伝えたいという信念はまさにプロフェッショナル。

3月にフランス歌曲を歌った方々も、誰一人有名な歌い手さんは居ませんが、「フランス歌曲をもっと知って欲しい。もっと作曲家の言葉を伝えたい。」と言う目的がぶれていない。

そのために、彼女らは誰一人、自分のためには客の前に立っていません。
それがすごく判る。

有名音楽大学を出てヨーロッパに留学しても、コンクールで賞を取っても、何も感じない歌い手は沢山います。

そのブランドだけで4千円も5千円もチケットを取っても、何も伝えることが出来ない歌い手のコンサートも沢山行われています。

でもね、声を聴かせられても、誰も感動しないんですよ。

技術だけを見せびらかされても、誰も感動しないんですよ。

どんだけプロフィールが長くても、どんだけ立派な舞台に出ていても、どんだけマスメディアに取り上げられても、自分のために演奏しているアーティストは本当の意味でのプロじゃないんですよ。

大切なのは、自分の才能を使って「何を伝えたいか」と言う事。

そして、そのことが「決してぶれない」事。

それこそ、本当の「芸術家」であり、「仕事」であると思います。

こんなこと書いているのは、ほぼ自戒の念。

今の私は、この「ぶれない気持ち」を探しています。

私は芸術と言う分野で、いったい何を伝えたいのか。

そのために、どんな作品と向き合って、何を創っていけば良いのか。

自分のためには絶対に創らない。

このことだけは、「ぶれない」自分であり続けたいと心から思っています。
by kuniko_maekawa | 2012-06-11 16:58 | 心のつぶやき | Comments(0)

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